Lost in Karaoke.
言葉にならない音楽の楽しさを体感。
Parcelsとロスト・イン・カラオケ。
音楽のすごいところは、スピーカーから流れてくる音を言葉では絶対に伝えられないことだろ?
と、Oasisのギャラガー兄が雑誌のインタビューで答えてました。
そんな言葉を気持ちいいほど体現しているバンドがいます!
「Kitsuné」から鮮烈なデビューを果たし、Daft Punkが唯一楽曲のプロデュースを手掛けた
バンドとして知られる、バイロンベイ出身のいまもっとも輝かしい5人組、パーセルズです。
あれこれ聞くなんて野暮ったい。音楽を心底楽しんでいる彼らを目にしたらそう思うはず。
ということで、取材時間をフルに使って彼らとカラオケに行く企画が実現しました〜!
Photo_Marisa Suda
音楽はいつも5人で。とにかく明るく自由な空気感。
パーセルズほど真っ直ぐ音楽と向き合うバンドを前にすると、音楽の魅力ってなんだと思うのです。 周りを忘れるくらい没入させてくれるあの気持ちよさ、そしてときに鳥肌が立つほどの感動を与えてくれるある種の魔法のようなもの。わたしたちはいい音楽を聴くと突如としてその魔法にかかってしまい、夢中になってしまいます。で、例えば「パーセルズの、あの曲いいよ」と誰かに伝えたいとき、レトロポップ、ディスコ、ファンクとかジャンルに倣った大枠の感想は言えても、その一言二言では説明しきれない“好き”があることに直面するのです。
そんなことを考えていると、ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』が脳裏によぎりました。ウイスキーのCM撮影のために来日したビル・マーレイ扮するボブと、カメラマンの夫の付き添いでたまたま同じホテルに滞在しているシャーロット役のスカーレット・ヨハンソンが偶然出会い、異国の地で言葉の通じなさにやきもきしたり、逆に心通わせていたりする繊細な人間模様を描いたあの作品。ボブとシャーロットが言葉いらずで心を通わせているこの感じ。さっきとなんか似ていません?
「あ! ここ、前にも来たことある! しかもまったく同じ部屋だ」
と、ドラムのAnatoleによるテンション高めの発言でカラオケ企画が幕を開けました。つられて、他のメンバーもマラカスやタンバリンを手にしだして。撮影で来たとはいえ、東京でカラオケに来ることができた機会を存分に楽しんでいて、その様子がボブとシャーロットがカラオケしているシーンと重なって仕方がない! カラオケにどれくらい来たことがあるのかを聞くと、
「人生でカラオケに来たのは2回目。前はパリで行ったんだけど雰囲気は東京のと似ているかも。そのときも撮影だったんだけどね(笑)」とギターのJules。PhoenixやTwo Door Cinema Clubのサポートアクトに抜擢されたり、自身のツアーで欧米を飛び回っていたりで多忙を極める彼らはそもそもあまりオフがないそうですが、もし行けるならデペッシュ・モードの『Just Can’t Get Enough』、アウトキャスト、マドンナの往年のカラオケソングを心置きなく歌いたいと。ちなみにキーボードのPatrickは東京のサイケバンド、幾何学模様の曲が入っているか気にしていましたよ。では、肝心のこの日彼らが歌った曲は?
短時間だからこそ厳選された、パーセルズの十八番!
- 年明けにまさかの『Last Christmas』。けど、楽しそうだからオールオッケーです。ベースのNoahとキーボードのLouieはこの日が人生で初めてのカラオケだったらしく、カラオケの醍醐味でもあるシュールな(曲とあってるようであってない)背景映像に指を差しておもしろがっていました。「いつも日本に来るときはゆっくりできないから、今度は春あたりに遊びに来たい」と言ってたので、次の来日もそう遠くないのかも? デビューアルバム『Parcels』を聞きながら、今後もピュアに音楽と向き合うであろう彼らの活躍を引き続き追いたい!