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チルにおさまらずカオスであれ! chilldspotのアルバムが完成したよ。
チルにおさまらずカオスであれ! chilldspotのアルバムが完成したよ。

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チルにおさまらずカオスであれ! chilldspotのアルバムが完成したよ。

2021.10.01

街角で聴こえてきた切ない声色とメロウなサウンドに惹かれ
調べてみたら10代のバンドだったときの衝撃をなんと言いましょうか。
同じ経験をしたリスナーたちから「早熟」「アダルト」と表現される
4人組バンドchilldspot(チルズポット)が1stアルバム『ingredients』をリリース。
好きなものが全然違うという4人が込めた想いとは?
気になるあれこれを聞きました。

Photo_Momo Angela
Interview&Text_ Takashi Inomata
Stylist_Masato Yoshida
Hair & Make-up_Mizuki Akai

左からジャスティン(Dr.)、​​比喩根(Vo.)、小﨑(Ba.)、玲山(Gt.)

ーガールフイナム初登場になります。まずはみなさんの音楽ルーツや、よく聴くアーティストを教えてください。
ジャスティン:昔、よく聴いたのはエリック・クラプトンです。親がずっと家で流してたんです。chillspotのドラムに関しては、ザ・ルーツとか90年代のヒップホップの影響を受けていて。ザ・ルーツは僕のドラムの師匠が大好きなヒップホップバンドで、その人の影響が大きいんです。
玲山:親の影響で小学生の頃はBUMP OF CHICKEN、中学に入ったらRADWIMPSとか邦ロックをよく聴いていました。chilldspotに入ってからはガラッと変わって、ギターの勉強も兼ねてジャズとかファンクとか、歌が入ってない曲を聞くようになりました。
小崎:昔からボカロとかEDMとか邦ロックとか、いろんなジャンルを聴いているんですが、最近はブラックミュージックが増えました。ファンクバンドのヴルフペックとか、フュージョンのウェザー・リポートとか。あとは名ベーシストのジャコ・パストリアスとか。
比喩根:個人的にはアイドルソングとかボカロとかK-POPをよく聴きます。でも、chilldspotの曲を作るにあたり、日本のR&Bシーンとかシティポップを引っ張っている人たちを聴くようになりました。Nulbarich、SIRUP、Suchmosとか。
ー比喩根さんは作詞作曲をされますが、曲を作ってみたら自然とブラックミュージック寄りだったんですか。それともブラックミュージックを聴き始めてそういう曲を作るようになったんですか?
比喩根:前者ですね。J-POPだと思って作ったら、周りから「違うぞ」って言われたみたいな(笑)。それまでR&Bとかブラックミュージックというジャンルをほとんど知らなかったので。聴き始めて「なるほど。こういう音楽から影響を受けてる人たちって、ああいう曲になるんだ」って納得したりとか。いまはそういう曲を歌ってる方が好きだし、楽しいです。
ー比喩根さんは、ときに甘く、ときにピュアで、ときにドキッとするほど官能的な歌声の持ち主ですが、ボーカル面で影響を受けた方は?
比喩根:Aimerさんが大元にいます。そこからEGOIST、藤原さくらさん、GLIM SPANKY。海外だとアデルとか。そういう人たちから入っていって、最近はアリシア・キーズとか。曲を作るようになってから、いろんなアーティストを教えてもらって、最近は低音域の力強さとか声の太さとか、そういうところに注意して聴くようになりました。
ー比喩根さんの個性的な歌声ありきで、バンドアレンジを考えたりしますか?
玲山:歌がうまいという印象があったんで、結成当初は歌を引き立てるバンドだなと思ってやってました。最近は楽器も目立つ楽曲が少しずつ出てきて変わりつつあるんですけど。
小崎:曲によって歌い方や声の質感は違うので、いまはそこを考えずにやってますね。
比喩根:バンドだしね。ボーカルを主軸に作ってもらってる感じはあるけど、サポートメンバーじゃなくてバンドなので。バンドとしての見せ場も作りたいから、各楽器のソロをがっつり入れたりしてるんです。
ー今回のアルバムは、作曲クレジットがchilldspotというバンド名義になっています。そもそもどのように曲を制作していくんですか?
比喩根:比喩根がギターの弾き語りで歌詞とメロディー、簡単なコードを作って送ってくれるので、そこからみんなでアレンジしていく作り方です。
ーアレンジが決まってから歌詞やメロディーを変えることはありますか?
比喩根:変わったことはないですね。たとえば「ここのBメロ、何かないかな?」とか「サビをもう一回増やさない?」とか、そういうことはありますけど、歌詞やメロを変えたことはほとんどないかな。
ーということは、歌詞は最初から固まってる。
比喩根:デモから絶対に変えないというくらい決め込んでます。もう曲としてできあがっちゃってるから。
ーメロディーと歌詞は、どちらが先なんですか?
比喩根:ほぼ同時です。最初にコード進行を決めて、メロディーがちょっとあって、そこから歌詞を探して、ぴたっとはまったらそこから同時に作っていく。
ーということは、比喩根さんの中では歌詞に対するプライオリティが高い?
比喩根:半々です。というか、メロも歌詞も、どっちかが欠けたらダメだから。どっちも自分の中でちゃんと納得してからバンドに提出するんです。
ー9月15日にリリースしたファーストアルバム『ingredients』には、シティポップ、ファンク、ディスコ、ロック、ブルースなど、いろんな風味が詰まっていて、ずっと繰り返して聞き続けられる落ち着きと中毒性がある作品でした。
比喩根:メンバーみんなが、それぞれやってみたいプレイとか、やってみたいジャンルの曲を作っていったら、アルバムができるくらい曲が溜まっていたという感覚です。やりたいことを好き勝手に、10代のうちにできることを全部詰め込んだっていう感じですね。
ー10代で絶対にアルバムを作るんだ!という気持ちは強かった?
玲山:そこはあまり気にしてなかったですね。
ジャスティン:でも、作るんだったら、やれることをやっておこう、みたいな。
比喩根:私は個人的にありました。初めて作品をリリースした当時、高校生というところで注目されてたこともあったから、そこから抜け出して、10代ラストにドカンと一発爆発起こしたい!みたいな。「どうだ!」って見せたかったっていう思いはありました。
ー音楽以外の分野でも、良かれ悪しかれ、「10代」という言葉はキーワードになりがちですよね。
比喩根:10代っていい売り文句というか、いい注目のされ方だから、使えるモノは使いたい、みたいな。年齢じゃないとかって言うけど、実質、年齢で注目されてる部分もあると思うから使えるときに最大限使って、いろんな人に聞いてもらいたいっていう思いはありますね。
ジャスティン:うれしいと思う反面、10代だからすごいと言われてるのかなぁという部分もありますね。10代という言葉を取っ払って、あなたはどう思うんですか? っていうのは聞いてみたい。
小崎:僕も同じです。10代の中ではいいっていうことなのかなっていう風に聞こえるところがあって。他の世代の人と同じ立場・同じ舞台で勝負していきたいっていう気持ちがあるから、取っ払ったらどう思うんだろう? って。
ー「10代」をプレッシャーに感じるような場面はありましたか?
ジャスティン:ライブがあまりできなかったんで、初めてのライブのときはハードルの高さみたいなのを多少感じました。
比喩根:10代でこういう音楽性をやってるなら(演奏が)うまいでしょ? 的なプレッシャーはありました。大人な雰囲気だし、とか。でも「いやいや、意外とそうでもないよ」みたいな(笑)。
ジャスティン:音楽性はそうかもしれないけど、僕たち自身はそんなに大人っぽいわけじゃないから。
比喩根:だよね。さっきも待ち時間に「さけるチーズ」の話で盛り上がってたし(笑)。
ジャスティン:だから、いい意味でも悪い意味でも、相手が思うイメージと実像にギャップを感じることはありますね。
ーアルバムタイトルの『ingredients』は、どのような思いからつけたんですか?
比喩根:曲が全部できあがってからタイトルを考えていって。みんなでいい英単語はないかな? と話していて、私が素材とか材料っていう意味のこの単語を出したんです。
ジャスティン:色々な意味を込めていて。4人のルーツがバラバラなんで、ひとりひとりの音楽性が素材っていう意味があったり、このアルバムや曲自体を素材と考えてもらって、聴く人がそれをどう解釈して咀嚼するかっていう思いを込めました。僕たちの曲が聴いてくれる人たちの生活の素材になってくれればいいなと思ってます。
ー先行シングル「未定」は、どのような思いから書いた曲ですか?
比喩根:私自身がいろんな人と比較したり、劣等感が強かったり、コンプレックスの塊だったりする部分があって。普段からそう思ってるから、それが出たんだなと思います。他人と比べて「あの子はこうだから」とか「この子はこうで」とか、そういう部分が私自身にもあるから、自分自身にかけてほしい言葉を書いたうえで、それがさらに同じことを思ってる人の支えになる言葉にもなったらいいなと思って書きました。
ーバンドアレンジはどのように?
ジャスティン:バンドの考え方として、歌詞が重い場合はサウンドを軽くしてバランスを取ることを意識しているので、これはディスコっぽいアプローチにしたんです。これまでの曲に比べてテンポが速かったんで、そうしたら似合うんじゃないかな? と思って僕が提案したんですけど。みんなでセッションしてみたら上手くハマって、じゃあ、この方向でいこうとなりました。
ーそもそも「未定」というタイトルはどこから?
ジャスティン:曲名が全然決まらなくて……。
比喩根:タイトルが決まってない曲を私が全部「未定」って書いてて。「未定1」「未定2」みたいな。で、他の曲のタイトルは決まっていったんですけど、そのうち「あの“未定”さ、こうしてこうしてさ」みたいに話してたら、「あれ? 歌詞的にも、そのタイトルで合ってるんじゃない?」って(笑)。
ー未定というタイトルで、歌詞の内容ともマッチしてると。
比喩根:コンプレックスや劣等感を解消したり、克服しても、この先どうなるかわからないし、人生が定まっていくわけでもないし。誰かと比べて、その人より勝ったとしても、また新しい対象が生まれて比べ始めるだろうし。いろんな思いが絡まっていて、「自分のポジションがわからない。どの立ち位置かわからない」みたいなところも含めて“未定”だなって。響きも良いし、慣れ親しんでるし(笑)、「未定、いいねー」って。
ジャスティン:だから、今後「未定2」という曲が出てくるかもしれないです(笑)。
ーアルバムのリード曲「dinner」は、どんな思いから書いた曲ですか?
比喩根:生活している中で我慢してる人って多いだろうなと思っていて。そういう感情を吹き飛ばすくらいとにかくカオスにしてやろう、みたいな。そういう曲を作りたかったんです。
ーカオス?
比喩根:SNSなどでいただく意見や感想を見ていると、chilldspotってチルでおしゃれな音楽をやっている印象を持ってもらうことが多くて。そういうイメージを持ってもらうのも嬉しいんですけど、みんなヒネくれてるんでそういうイメージを一回崩したいなと思って(笑)だからカオスでアングラな感じ、ダークな感じを一発やってやろうぜ、みたいなところから始まったんです。そういう面で、「dinner」はアルバムで一番インパクトがあるし、音程は変だけど、覚えやすいというか、耳に残りやすいし。っていうところで、「dinner」をリード曲にしたんです。
ー作詞作曲をしている時点で音の方向性のイメージもあったんですね。
比喩根:覚えてないんですけど、たぶん嫌なことがあったんでしょうね。ポップな感じだけど、ダークな感じを暗喩して曲を作るにはどうしようか?と考えて、“食べるだな”と思ったんです。
ー抱えている悩みや不安、ストレス、誹謗中傷などは、もう食べちゃえと。
比喩根:たとえば嫌なことを言ってくる人がいたとして、その人に嫌なことを返したら、その人と同じ事をしていることになっちゃうから嫌なんです。そのときに夢の中だったら何しても大丈夫だから、じゃあ、食べるか、みたいな(笑)。強者を喰らって胃の中に流し込んで、スッキリした上で、翌朝起きれば、相手もこの世にまだいるわけで。それがいちばん平和だし、おもしろいかなと思ったんです。
ーそれがいい解決法なんじゃないかと。
比喩根:実際、そんなに恨んでる人はいないんですけど(笑)。笑い飛ばす感覚で、どれだけ罪悪感を残さず、その人に対処できるかっていう感じですかね。そこから「dinner」となりました。
ー「dinner」のイントロはタイトなヒップホップビーツで始まりますが、歌が始まると世界がグニャッとゆがむ感じになる。アレンジは、比喩根さんのイメージにあった「カオス」「ダーク」というキーワードから膨らませていったんですか?
ジャスティン:そうです。展開がグチャグチャだったり、ドラムもヨレてたり、ギターも歪めていたり。
比喩根:楽器隊のレコーディングは、すごい難しそうでしたね。
ジャスティン:歌い出しの「Let’s make dinner together」のところが、ちょっと変拍子になるんです。そこに元々この曲にあるハネたリズムが加わるんですけど、それをクリックに合わせて演奏するので、途中まで正常に流れていたクリックが、そのタイミングですごい鳴り方をして、まだ正常に戻る。それに合わせていかなきゃならないので、みんな「あーーー!」って言いながら、頑張って録りました。
ー「夜の探検」「Groovynight」「ネオンを消して」「dinner」と、夜から明け方の時間帯を舞台にした曲がわりと多いと思いました。
比喩根:夜の方が思いつくんですよね。昼とか思い浮かばない(笑)。
ー夜と言っても、どういう時間帯ですか?
比喩根:夜10時くらいから作って、大体、深夜12時、1時くらいで終わるんですけど、難航したり、「曲作りたくない。でもやろっかなぁ」っていうときは深夜2時くらいから始めることもあります。
ーひとりで部屋に籠もって、ギターをポロポロ弾きながら考えていく?
比喩根:本当ひとりで籠りますね。実家暮らしなんですけど、お母さんが音楽とか流してると「ごめん。ちょっと止めて欲しい」って。
ーエアコンの音とか?
比喩根:それくらいのかすかな生活音がいちばん好きです。音楽をかけてる空間より雑音の方が好きなんですよね……(笑)。
ーchilldspotは、今年、Spotifyの「RADAR:Early Noise 2021」や、YouTube Musicの新人アーティスト支援プログラム「Foundry 」に選ばれました。サブスクやプレイリストの普及で音楽の国境はどんどんなくなってきていると思いますが、海外のリスナーとのコネクトを感じる場面はありますか?
ジャスティン:韓国のドラムやってる子からインスタにDM来ました。
比喩根:私も「台湾のファンです」っていう方がいました。あとはタイ。タイ語の字幕がついてる「ネオンを消して」が5万回とか6万回とか再生されてて、そのコメントも全部タイ語でした。あと、YouTubeのコメント欄に「ここにブラジル人いる?」とか、「ロシアです。好きです」とか。Twitterで中国語で「このバンドがいい」って言ってくれてる方もいて嬉しいです。
ーそういう反響を感じる中、海外進出や海外展開は考えているんですか?
ジャスティン:いろんな国の人に聴かれて反響をいただけるのは純粋にうれしいんですけど、正直あまり想像つかない部分もあって。日本語の歌詞っていうこともあって、そこまで具体的に考えが及んでないというか。
比喩根:そもそも、誰をターゲットにしようとか、誰に聴いて欲しい、みたいなことは考えてなくて、必要としてくれる人に楽曲が届いたらいいなと思っているくらいで。
ジャスティン:そうだね。国内、海外問わず今必要としてくれる人に届けたいね。
比喩根:本当にそう。今はいい曲つくって、いい演奏して、「いいね」って言ってもらうことが目標です。
ーところで、いま、バンド内で流行っているものはありますか?
比喩根:あるかな…。いまパッと浮かんだのは「さけるチーズ」(笑)。
ジャスティン:音楽のルーツがバラバラというのもあって、バンド内で何かを共有するっていうのがあまりないんですよね。
ーたとえば動画配信サービスで見た映画やドラマの話とかは?
ジャスティン:僕がめちゃめちゃ勧めてる映画が1本あるんです。『ベンジャミン・バトン』っていう映画がメチャクチャ好きで、1ヶ月くらい前から、まあまあの頻度で勧めてるんですけど、誰一人観ない(笑)。
比喩根:そう。ほんとに誰も観てないよね(笑)。
ーいじめられてるんですか(笑)?
ジャスティン:どうして、そこまで観ない?って(笑)。
ーでは、4人が個々にハマってることを教えてください。
比喩根:私は「スプラトゥーン」かな。Switchを持ち歩いてて、空き時間になるとゲームしてます。
小崎:僕は最近始めたスケボーですね。オリンピックの前から始めてましたよ(笑)もともと運動が好きと言えば好きな方なんで。
玲山:俺もゲームかな。最近好きなタイトルはパソコンゲームの「VALORANT」。基本的にはギターの練習をして、DTMで曲作りの勉強をして、寝る前に一日の締めみたいな感じでゲームするのがルーティン化してる。
比喩根:わかるわかる、同じ(笑)。
ー最後はジャスティンくん、お願いします。
ジャスティン:僕は家でも取り憑かれたようにずっとヘッドフォンをつけてるんです。ずっと何かしら聴いてて。とくに趣味もないし、「暇な時間、何やってるの?」って聞かれたら「音楽聞聴てる」としか言えなくて…。パソコンでDTMを勉強するようになったから、自分でトラックを作って、仲のいい友達にラップさせて遊んでますね(笑)。だからハマってるのは音楽になっちゃう。
比喩根:いいじゃん、いいじゃん。かっこいいなー、「音楽、ハマってます」って。私たちもそれでお願いします(笑)!

chilldspot
メンバー全員が2002 年生まれの東京都出身4人組バンド。2019 年12 月に結成し活動開始。 2020 年11 月に1st EP『the youth night』を高校在学中にリリース。リード曲の『ネオンを消して』はYouTubeで58万回再生を突破。Spotifyが2021年に躍進を期待する次世代アーティスト、「RADAR:Early Noise 2021」やYouTube Musicの新人アーティスト支援プログラム「Foundry」に選出 されている。

10/9. MINAMI WHEEL 2021
詳細:https://minamiwheel.jp/
10/18 PARK LIFE
詳細:https://parklifefes.jp/
10/18 CLAPPERBORAD -Enjoy the weekend!-
詳細:https://www.club-quattro.com/shibuya/schedule/detail.php?id=12428
11/18 One man live”the youth night”追加公演
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