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これがPetra Collinsが目にして、感じた世界。
これがPetra Collinsが目にして、感じた世界。

OMG! I'm being killed!!!

これがPetra Collinsが目にして、感じた世界。

2019.10.18

Taviが編集長を務めた『Rookie magazine』に作品を掲載して以来、
世界中のティーンエイジャーの心を鷲掴みにしているフォトグラファーがPetra Collins。
もちろん本誌の読者である皆さんも、一度は彼女の作品にときめいた経験があるはず。
そんなPetraが先日発売した作品集『OMG! I'm being killed!!!』(SUPER LABO刊) の表紙には日本語が!
しかもなんか絶妙に意味が違くておもしろい。一体どんな意図があってこのタイトルになったのか。
「SUPER LABO STORE TOKYO」で開催されたサイン会当日、Petraにお話を聞いてきました!
インタビュアーは彼女の作品が大好きなアーティストYukikaちゃん。
Yukikaちゃんが取材時に着ていたTシャツはPetraと縁あるレアものなんだとか。

Photo_Cailin Hill Araki
Text_Yukika Tasaki

ー初めまして。今日はお会いできて本当に幸せです! 私が高校生のときに『ルーキー・マガジン(Rookie magazine)』でPetraの作品を見てから、こうして会える日を夢見ていました! PetraとTavi(ルーキー・マガジン元編集長)は私含め、当時ティーンエイジャーだった日本の女の子たちに多大なインスピレーションを与えてくれた存在なんです。アナログカメラで写真を撮り始めたり、キラキラのシールやTumblrの画像でコラージュをしたり、ZINEを作ってみたり…。私もZINEやコラージュを作ってますが、そのすべての原点で。今日は本当に嬉しかったので、5年くらい前にPetraと〈アメリカン・アパレル(American Apparel)〉がコラボしたレアなTシャツを着てきました!
すごい! そのTシャツって本当にレアなんだ。ありがとう!
ーまずは新しい作品集について。この最高にキャッチーなタイトル『OMG! I’m being killed!!! (OMG私は殺されています)』にがっつり心を掴まれたのですが、このタイトルを選んだ理由を教えてください。
たぶんファッション業界でフォトグラファーとして活動することに疲れていたからかな。ダイバーシティやフェミニズムがファッションビジネスとして利用されているって感じ。それに私自身が殺されてしまう気がして、このタイトルに決めたの。
ー80年代のJ-POPレコードのジャケットや90年代の日本のギャル雑誌を彷彿とさせた、私たちにはちょっと懐かしくもあるグラフィックデザインと、宇宙人のようなモデルを掛け合わせたフューチャリスティックなビジュアル。この時代を超越するようなギャップの組み合わせが個人的に大好きです。あとこの日本語テキストも!
ありがとう! それがまさに狙いだったの。おもしろかったのが、この表紙をインスタグラムに投稿したときに「OMG〜! 何この日本語訳〜! 」みたいなコメントをもらったんだけど、私は「ノーノーノー! それが良いじゃん」って。
ーこの日本語はGoogle翻訳を使ったの?
ううん。私が本に入れたい言葉をいくつかピックアップしていて、日本人の友達に訳してもらったんだけど、わざとこういう不自然なGoogle翻訳風の日本語にしてって頼んだの。でもどのページにどの言葉が使われているか、わからないんだ(笑)。
ーこの本にはSpooky(不気味)でWeird(変てこ)なショットがたくさん収められているけど、こういった非現実的な世界観はどこから生まれてくるの? 例えば夢からインスピレーションされたり?
夢だったり、自分自身の体験だったり、私が持っている抽象的なイメージやこんなことが起こったら良いのになって妄想すること。実はこの作品集を作るのと同時に『Baron magazine』も制作していて…。
ーあ! 今日それも持ってきたよ!
それそれ〜! 『Baron magazine』の方では、私が実際にみた悪夢を現実に再現してみたんだ。だけど、あるインタビューで「なぜシュルレアリスム(超現実主義)に夢中なのですか? なぜ作風がシュルレアリスムになったのですか? 」と聞かれて、その質問の意味が本当にわからなかった。だって私にとってはすべて現実だから。夢で見たことも私が実際に夢で見た現実なわけでしょ? シュールにしたんじゃなく、日々の生活のなかで得たインスピレーションや私の目に映ったものを作品に反映しているの。
ー私がPetraの作品にとくに惹かれる理由は、写真がただ綺麗なだけじゃなくて、そこに映っている女の子の着ている服だったり、お部屋に置いてあるアンティークのランプシェードだったり、そういう小さなディテールのひとつひとつがPetra Collinsという世界観を作っているから。撮影では、スタイリングやプロップのディレクションもするの?
今回の作品集ではほとんどの撮影で、スタイリスト兼、私のアシスタントのDeanがスタイリングしてくれたの。もちろん私も洋服が好きだけど、もっと映画のなかに出てくる衣装みたいなものをイメージしたかったからDeanの力を借りた。スタイリングは写真のストーリーを表現する大事なパートだからね。モデルが着ている服で時代感が出るのが嫌で、タイムレスなスタイリングをいつもお願いしてるの。レトロや近未来のものを組み合わせて、どの時代にも属さないような世界観を作るようには気をつけてる。
ー自分が思い描く世界観をチームで共有しながら作り上げるのは難しいことだと思うんだけど、いつも同じ撮影チームで動いているの?
大体は私とDeanと数人の本当に小さなDIYグループで!(笑)彼は照明を持ってくれたり、レフ板を持ってくれたりもするの! 毎回撮影は楽しいけど、もちろんハプニングもあって。この作品集には、雑誌やブランドのキャンペーンのために撮影して使われなかった作品を載せたの。表紙に使った写真は実は有名なスポーツウェアブランドの大々的なキャンペーンのために撮り下ろしたんだけど、最終的に1枚も使われなかった。だから写真のなかに映っていた商品を消して自分の作品としてこの本で発表したの。結果的にこういう形で作品を見せることができてハッピー♪
ーちなみに次回作はホラー映画なんだとか! 今回の作品集にも背中に包丁が刺さっていたり、手に鍵が刺さっちゃってたり、ホラー映画を彷彿とさせる要素が散りばめられているけど、作品のインスピレーションになったオススメのホラー映画はある?
ひとつは日本の怪奇ファンタジー『ハウス』。セット、編集、映像、本当に全ての要素が素晴らしくて、すごくインスパイアされた作品。あとは、今敏監督の『パーフェクトブルー』。それと『エクソシスト』かな。『エクソシスト』って、まさに王道のティーン映画でしょ?(笑)
ー日本のコアな映画が好きなのは意外! ちなみに日本に来るのは何回目? 東京でお気に入りの場所があったら教えて。
4回目。今回の旅では初めて京都に行くから、それが楽しみ! 東京のお気に入りスポットは花やしき。今日もサイン会の前に行ってきたよ!

Petra Collinsのすべてが
詰まった作品集たち。

左からPetraを知るきっかけとなった『Rookie year book 1〜3』、数年前に購入したPetra初の写真集『Discharge』の初版、エッセイやポラロイドなども交えた『Coming of Age』、中目黒のoffline artbook fairで最近購入した『Baron magazine #6』、Petraを含む30人の若手女性アーティストの作品を収めた『Babe』。

INFORMATION

Petra Collins「OMG! I’m being killed!!!」

会期:〜2019年11月17日(日)
場所:SUPER LABO STORE TOKYO
住所:東京都千代田区神田猿楽町1-4-11
電話:03-6882-4874
時間:11:00〜19:00(火-土)、11:00〜18:00(日、祭)
superlabostoretokyo.com