CHANEL 20190311~
GIRL HOUYHNHNMGirls Just Want To Have Fun!
自分を表象して自分を味方する、ゴート・ガールのロック。
自分を表象して自分を味方する、ゴート・ガールのロック。

Rock for the girl’s voice.

自分を表象して自分を味方する、ゴート・ガールのロック。

2018.07.11

L.E.D.、クロッティ・クリーム、ナイマ・ジェリー、ロージー・ボーンズ。
弱冠20歳、いまひとつのシーンとして沸々と盛り上がっているサウスロンドンを拠点に活動する
ゴート・ガールは悩める女の子の代弁者であり、代表者。その鬱屈とした歌詞と粗々しいサウンドは
多くの人にそっと寄り添う心地よさで、地元のみならず世界中から熱い視線を集めています。
そんな彼女たちがデビューアルバム『Goat Girl』をひっさげて、6月に初来日ツアーを敢行。
日本に着いた翌日、ギターのL.E.D.とベースのナイマ・ジェリーにお話を伺うことができました。

Photo_Asami Nobuoka

その日あった嫌な出来事を歌で発散していた。

ーこれを最初に聞こうと思ってたんですけど、エリー はL.E.D.でロッティはクロッティ・クリームというそれぞれステージネームがあるようですが、なぜ2人だけステージネームを作ったんですか?
L.E.D.:全員じゃなくて2人だけが持ってるから、気になるよね。でも、ノリで作ったからよくわからないの(笑)。

ナイマ・ジェリー(以下ナイマ):バンドを結成するならステージネームがある方がいいよねって2人で話したからじゃん? あ、そうだ、自己紹介しておかなきゃね。わたしは、ナイマ。ベースを担当してるよ。ロッティがヴォーカルとギターで、ロージーがドラムを担当してる。うーん…そんなところ?

L.E.D.:ハーイ、わたしはL.E.D.っていうの。同じくギターを担当してるわ。日本に初めて来れてすっごく嬉しい。
ー昨日到着したと聞きましたが、東京観光はできました?
ナイマ:少しだけね。素敵なバーに連れていってもらったの。でも、そのエリアの名前忘れちゃった…。なんだっけ?

L.E.D.:し…し…。
ー渋谷?
ナイマ:いや、渋谷から電車に乗って向かったの。ええ…どこだっけ…すごくいい雰囲気だったのに。

L.E.D.:下北沢!

ナイマ:そこだ!
ー下北沢にはレコードショップがたくさんあるんですよ。ロンドンでいうとSOHOのバーウィック・ストリートのような感じで。
ナイマ:そうなんだ! じゃあ初めて来た日本だけど、ちゃんといいスポットに行くことができていたんだね。全然開拓する時間がなくて残念だったけど、街の雰囲気がよくて歩いてるだけでも楽しかったな。そもそもアジアに来たのも初めてだからビルや食べ物、街にいる人たち、目に入るすべてが新鮮だったの。

L.E.D.:さっきナイマが言ってた素敵なバーっておじさんたちが行くようなバーだったよね? そこで食べたサクサクなチキンが美味しかったの…。
ーああ! 居酒屋と唐揚げのことですね! 逆に普段ロンドンではどうやって遊んでいるんですか?
ナイマ:ロンドンはもう物価が高くて、そんなに外を出歩いて遊べないの。だから家で遊ぶことが多いし自炊もしてる。それもあって、わたしとL.E.D.はいま一緒に住んでいるんだ。

L.E.D.:家で食事をして、ギグを観にパブに行くって感じ。
ーバンドが結成されるまでの経緯についても知りたいんですが、ロージーが最後に加入したメンバーなんですよね?
ナイマ:そうよ、17歳のときかな。まずL.E.D.とわたしが学校の同級生で11歳からの友達なの。それで15歳くらいでロッティに出会った。当時は、よくロッティの屋根裏部屋に3人で集まってバカみたいな内容の曲を作っていたんだ。
ーそのバカみたいな内容の曲、どんなものか気になります。
L.E.D.:いまの作風とは全然違ったものでちょっと恥ずかしい(笑)。でも考えてみたら、身の周りでおこるフラストレーションを題材にしていたのはこの頃からだったのかも? ただ、最初はアコースティックギターを使っていたから、曲調もゴート・ガールのそれとは別物で。まあ楽器がそれしかなかっただけなんだけどさ…。だからこそギグをやるようになってきて、もっとパンクだったりエレクトリックなサウンドを取りいれたくなってきたの。なんかもっとエネルギーがみなぎるようなものをね。そういう自然な流れでエレキギターやベースなんかを使うようになったし、ドラマーも必要になったからロージーに加入してもらったという感じ。
ー作詞ファーストというか伝えたいことをまずは見つけて、それに合うサウンドを探っていくスタイルなんですね。ロージーはどんな経緯で知り合ったんですか?
ナイマ:知らない間に共演してたの。ブリクストンにある「The Windmill」という会場のファミリーギグで。ロージーは当時他のバンドに所属していたんだけど、話してみたらすごく気があったし、ちょうどそのバンドから抜けたかったらしくて(笑)。

L.E.D.:練習もしないし、バンド全体のモチベーションも低かったんだって。ロージーはもっと本気でバンド活動をしたかったみたいよ。

ナイマ:そう、だから『ウチに来る?』って聞いたら、即OKしてくれた(笑)。ラッキー!

サウスロンドンで熱を帯びるインディロックの聖地、「The Windmill」。

ー10代の時から「The Windmill」に通い詰めていたんですね!
ナイマ:ははは! 本当は内緒よ。でも夢中になって行ってたのは事実。私たちにとって初めて行ったギグがそこだったの。だから、自分たちがそのステージに立てた時は感慨深いものがあったわ。
ーいまサウスロンドン出身のアーティストが世界で活躍していて、シーンとして盛り上がっているなんて話をよく聞きますし、その中心地となってるのが「The Windmill」だとも聞きます。その背景に、みなさんのようにここでプレイすることを目標に掲げて10代の時から周りの同世代たちと切磋琢磨してたというのがあるからなんですね。
L.E.D.:そうね。いまサウスロンドンのシーンが熱いとかよく言われるしメディアに特集されることも多いんだけど、そのシーンの中で一緒に並べられるShameや、Milk Disco、Sorry、HMLTDとかはアーティストによって音のテイストもバラバラだから、そこで何か新しいジャンルが生まれる感じではなさそう。私たちがちょうど「The Windmill」に通い出したあたりからシーンとしては注目されるようになっていて、むしろその時の方がここら辺らしいサウンドというのがあったような気がするな。いちリスナーとしての意見だとね。

ナイマ:たくさんバンドがいたよね。だからこそ夢中だった。その先輩バンドたちが「The Windmill」らしい音を作り上げてくれてね。そういうバンドを私たちが17、18歳くらいの時に一生懸命観て、自分たちもやりたくなってバンドを始めた私たちと同じように、同世代の若手バンドも次から次へと生まれていったんだと思う。例えばShameとかもそうだけど、バンドをする前からよく同じギグを観にきてたの。会場で会うみたいな。
ーその先輩バンドにあたる人たちって例えば?
L.E.D.:MEATRAFFLEとか?
ナイマ:それは鉄板。あとは…Warm duscher、Fat Whit Family、BAT-BIKE、Phobophobesとかかな…。
ナイマ:Fat Whit Familyは海外でも人気のバンドだけど、地元で人気だったのはBAT-BIKE。
ーこういったバンドからインスパイアされていたということですか?
ナイマ:うん。私たちはこういう人たちの音楽を体感して育ってきたから、ゴート・ガールの音楽制作における最大のインスピレーション源そのもの。なんなら、ギグに行きすぎて音源をちゃんと聴いたことがないくらい。それは、みんなエネルギッシュなバンドパフォーマンスだから目の前で聴きたかったのと、改めて家で聴くのがなんか違うような気がしたから。
ーその観に行きたいと思わせるライブパフォーマンスはゴート・ガールにも活かされています?
ナイマ:活かされていたら嬉しい。けど、ゴート・ガールに関してはそれだけじゃなくてやっぱり音源としても聴いてもらえるようになりたいの。ギグではもちろん思いっきり楽しんでほしいんだけど、曲としてはリスナーがふとしたときに寄り掛かりたくなる、みたいなのが理想。

リアルに経験した内容だからこそ、国籍関係なく共感できる。

ーそれこそ歌詞がいまどきの女の子が抱える悩みだったりフラストレーションを代弁してくれているようなものが多くて、聴いてる側は共感するし刺激もされます。そういう女の子の心のより所でもあるかと。ああいう歌詞はどうやって生み出されるんですか?
L.E.D.:歌詞は基本的にロッティが書いているわ。まず、私たちがそれに共感するところから曲作りが始まる。

ナイマ:主な題材は、ロンドンのティーネイジャーが抱えるフラストレーション。例えばアルバムの1曲目『Burn the Stake』は、制作時にちょうどイギリス政権が交代して大学に進学することが難しくなってしまった怒りについてなの。入学するために9000ポンド(日本円にして約15万円)も支払わなきゃならなくて…ホント信じられないよね。だからその異議を込めて作った歌。まあ…そういう自分たちがリアルタイムで経験した出来事ということもあって、いちばんエモーショナルになって作れた。だから、あなたがそう感じてくれたように同世代の女の子なら国籍関係なしに共感できるんだと思う。

L.E.D.:あとの何曲かは、女性ならではの悩みというか社会に対する女性の怒りもメッセージとして込められているの。『Creep』は、電車の中であやしい男にジロジロ見られてキモいって歌なんだけど、あれはロッティが実際に盗撮されたときのことを書いていて。その時はもちろん怖かったんだけど、それ以上に怖くて何もできなかった自分への怒りが強かった。そういう女性ならではの怒りも代弁しているつもり。
ーみなさんを取り巻く不満や怒りをそのまま放って置かずに、何かしらの形で意思表示をする。その方法でいちばん身近なものが音楽だったということなんですね。
ナイマ:そうね。音楽を作ってる瞬間がいちばん発散できる。辛い状況に置かれてしまってこそ、逃げずに向き合って自分の意を示すことが大切だと思う。そして、こういう題材を扱ってるからこそ、アコースティックバンドからドラマーを加えたロックバンドに進化したし、サウンドもよりヘヴィーに、よりパンクになっていった。だからこれからも、もっともっとロックを追求していきたい!

INFORMATION

『Goat Girl』

PRICE:¥2,000+TAX(国内盤特典としてボーナストラック3曲追加収録)
LABEL:ROUGH TRADE / BEAT RECORDS
CATALOG NO: RTRADCDJP884
http://goatgirl.co.uk/