モーゼス・サムニーの “孤独”の在り方。
The way of loneliness.
モーゼス・サムニーの “孤独”の在り方。
2018.10.24
LAを拠点とするシンガーソングライター、モーゼス・サムニー。
6月にキリスト品川グローリアルチャペルで行われた初来日公演は瞬く間にソールドアウト。
スタンディングオベーションの大喝采で幕を閉じた。
そして、時を待たずとしてこの10月に再来日。
多重録音での音楽表現だったり、孤独を歌った曲だったり、“ひとり”を表す作品が多い彼に、
自身にとっての “孤独”とはなにかを聞いてみた。
photo_Junji Hirose
東京の情報は精霊が教えてくれたんだ。
- ー今年の6月に初来日公演をして、時間を空けずの来日でしたが、あなたにとって東京はどんな街ですか?
- とても大好きな街のひとつだね。カルチャーもおもしろいし、なによりもご飯がおいしい! 世界中のどの街よりも東京はいちばんおいしいものがあると思う。今回も渋谷や新宿の居酒屋やジャズバー、ゴールデン街に行ったよ。
- ーいろいろとまわったなかでも印象的だったお店はありましたか?
- ゴールデン街にあった、CUEというお店かな。カウンターだけのお店なんだけど、天井に大きなミラーボールがあって、それが光りながらジャズやディスコが流れていて最高だったね。ジャンベのような太鼓も置いてあって、みんなでパーカッションをしたり、コーラスしたり(笑)。楽しい夜だったな。
- ーそういった東京のコアなスポットはどうやって知ったんですか?
- 精霊がぼくのところに来て教えてくれたんだよ(笑)。というのは冗談で、東京にいる友達の情報だよ。大学時代の仲間が住んでいるんだよね。
- ー前回は教会でソロ、今回はライブハウスでバンドセットでの公演でしたが、それぞれどうでしたか?
- もともと教会で歌うのがとても好きで、他の国でもよくやっているんだ。ぼくは両親が宣教師なんだけど、宗教がどうとかいう理由ではまったくなくて、神聖で静寂な場所が好きなんだよね。東京でも教会で歌えてよかった。今回のライブハウスでのライブは、とてもうまくいった夜だと思っている。自分もお客さんもすごくいいムードでできたなって。
- ー前回も今回のセットリストでも、エイミーワインハウスの『I Heard Love is Blind』を歌っていたのが印象的でした。これまでもドナ・サマーやビョークなど、ディーバ的な存在の女性アーティストの曲を多くカバーしていましたが、なにか意識していることは?
- 女性アーティストだからっていう特別な意識はしていなくて、エイミーだったり、ビョークだったり、ただ好きなアーティストの好きな曲を歌っているという感じかな。あとは彼女たちの声は自分の声の高さとすごく合うんだ。
7歳の頃に書いた『One Night Stand』という曲が
ぼくの作詞の始まり。
- ー多重録音での音楽表現だったり、孤独を歌った曲だったり、“ひとり”を表す作品が多い一方で、チャンス・ザ・ラッパーやサンダーキャットと一緒に作品を作っています。ひとりで音楽を作るときと、複数で音楽を制作するときの気持ちの切り替えってありますか?
- 自分のソロの作品とはいえ“誰か”からヒントはもらって作っているから、すべてにおいてひとりというわけではないんだ。けれど、歌詞や音を作るのはひとりでやっていて、そこは自分らしさを出したいから譲れない部分。ほかのアーティストと一緒に音楽を作るのはとても好きなことのひとつで、毎回学ぶことが本当に多いよ。コラボレーションするたびに、自分について知らなかった発見がある。ひとりでやるのも、コラボレーションするのもどちらも大事にしていきたいね。
- ー以前、ほかのインタビューで 「幼少期から、自分にとって音楽は生きていくためのものだと認識していた」とお話していましたが、これまで音楽以外の表現方法でやってみようと思ったことは?
- もちろんあるよ。7歳の頃に、意味もよくわからず「One Night Stand」というタイトルをつけた曲を作ったのがぼくの作詞の始まりなのだけど、“書く”ことがずっと好きなんだ。学校でも書くことをずっと勉強してきたから、ライターになりたいなって。あとは演技もやってみたいかも。
- ーこれまでずっと音楽を続けてきたと思いますが、これからはどうやって音楽と向き合っていきたいですか?
- いまはこうして作品を作り続けているけど、どこかで絶対に休憩するとは思う。ぼくがこう思っていることは、誰も知らないし言わない限り分からないけど。これからも、詞を書いたり、レコーディングをしたり、プロデュースをしたり、ミックスを作ったり、はたまたこの音楽で世界を飛び回ったり。ひとまず、これは持続的に続くものだと思うんだよね。簡単な道があったとしても、なんだかんだいまのやり方を選ぶと思う。けど、とにかく“いま”はとても素晴らしい時間を過ごしているよ。
INFORMATION
Moses Sumney
www.mosessumney.com