フォルムに熱狂を散りばめて、ヨウヘイ オオノが5年ぶりのショーを国立科学博物館で開催。
約5年ぶりに、〈ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)〉がフィジカルショー形式で2023年春夏コレクションを発表しました。「時間と空間」というタイトルで、舞台に選ばれたのは上野の「国立科学博物館」。小動物から恐竜まで古来生物の化石がひっそりと眠る閉館後の博物館を背景に、彼がこれまで積み上げてきた造形美が散りばめられ、さらに進化を遂げた最新ルックがお披露目されました。
まずショー全体を通して印象的だった「?」のピアス。無機質で空虚な空間のなかを静かに、でも熱狂的に進んでいくモデルの耳に揺れるそのマークからは、迷いすらをもアティチュードに含めてしまう、ずっしりと構えた強さを感じられました。
そして、ヒップラインを美しく見せるための腰当てである「バッスル」に見立てたボディバッグ、そしてそれを起点にデザインされたジャケットやドレスはアンバランスで、でもインパクトがある、造形に対する彼のフェティッシュが垣間みれました。
他にも、スカートの裾にドレープを効かせタスキのように肩から背負う僧侶のようなスーツスタイル、甲冑のようにオーバーに連なる袖、キランっとした十字のカットワークなど彼のユニークな美学が光るルックが数多く展開。
ショーの後半は数シーズン継続しているグラフィックプリントも差し込まれており、カットソーがメインだった過去のデザインから一新し、新たにセットのドレープスカートを作ることでフォルム作りとの関連性が生み出されています。
なにかひとつのコンセプトにこだわるのではなく、あえてこれまでアプローチしてきたさまざまなアイデアを混ぜ合わせていくことで、新たなスタイルを発見し前身していく。いい意味で散漫とした、でも芯の通った彼らしい正直なクリエーションスタイルが全面に見受けたられたコレクション。それらを踏まえてもう一度タイトルに目を向けると、その言葉に隠された意図がよりクリアに見えてくるのかもしれません。
YOHEI OHNO
電話:03-5760-6039