GIRL HOUYHNHNMGirls Just Want To Have Fun!
2021.2.12 Fri

Talk About The Dope Sounds. #01
grooveman Spotの
日日是好メロディ。

write_ Sakuo

Talk About The Dope Sounds. #01 grooveman Spotの日日是好メロディ。

きらめく星が都会の夜空では見えにくいように、心を打つ名曲も情報の煙霧にかすれて届きにくい。古今東西の音を聴き、自らも曲を鳴らし作る匠人 grooveman Spot に学ぶ音楽の楽しみ方。いまこの時代に耳を傾けたいメロディを、私的な観点とイマジネーションを持って紹介する、きわめて内輪的な音楽談義。

Special Thanks_Proceed Music Store

#1 グルスポの歌モノ音楽愛とその接点について。

編集部:では早速初めて行こうと思うんですが、何気にオンラインでインタビュー取材って初めてなので、ちょっとドキドキしますね。(注:grooveman Spotさんは仙台在住なのです。)

grooveman Spot(以下、グルスポ):そうですね~。僕もやったことないですね。でもいまは全然ありそうですけどね。ひとまずやってみましょう!

編集部:そしたらまずは簡単にプロフィールを教えてもらえますか? ガールフイナムの読者は、たぶん誰もgrooveman Spotのさんことを知らないと思うんで(笑)。

グルスポ:確かに。音楽とスポーツをこよなく愛する…え~となんだっけ(笑)。

編集部:音楽とスポーツをこよなく愛する『女性に優しいハードコア集団』ですね。

グルスポ:それです(笑)。の、「JAZZYSPORT」所属のDJ兼プロデューサーで、多様な音楽が好きで、多彩なジャンルの曲をリリースしていて、日本も海外もあれしていて…。自分で言うのは難しいですね。

編集部:すみません。聞き方もよくなかったですね。生まれは仙台ですよね?

グルスポ:ですね。2001年に上京してきて、たしか23歳くらいだったんですが、青春時代はずっと東京にいて、東日本大震災のあとに仙台に帰ってきました。

編集部:今回この選曲企画を受けてくれた理由みたいなものってありますか?

グルスポ:僕って年齢はそこそこ行ってるんですが、地元でも東京でもクラブに行ったりするんで、若い子たちとの接点がけっこうあるんです。そんな中でも女の子たちでおもしろい感覚を持ってる子が多くて、例えば新譜しか聴かない子、逆にすごい古いブラコンみたいな80年代の曲ばっかり聴いてる子、いろんなタイプがいるなあと。僕が若い頃にはそういう子ってあんまりいなかった印象なんですけど、今回のこの話をいただいて、そういう若い世代に僕なりのおもしろいアプローチができそうだし、やりがいがあるなと思ったんです。

編集部:そう言っていただけるとすごく嬉しいです! で、初回のテーマは「グルスポの歌モノ音楽愛とその接点について。」なぜこのテーマなんでしょうか?

グルスポ:僕は元々はヒップホップ畑から入ったんですけど、歌モノとかR&Bもすごく好きで同じくらい聴いてたんです。で、アンオフィシャルで曲を作ってそれをサウンドクラウドとかでアップしたりしてて、それがこの5~6年ですごい量になってきたんですが、それを聴いたアーティストから逆にオファーが来るようになったんです。向井太一くんとか、iriちゃんとか。

編集部:それはすごい。

グルスポ:なのでいまは、歌モノな脳味噌の割合がだいぶ多いですね。

編集部:そういうこともあっての今回のテーマというわけですね。grooveman Spotさんと言えば、人気の若手アーティストの曲を作ってる印象ありますもんね。では、早速行ってみましょうか。

01 Iri / CAKE

グルスポ:まず3曲日本人アーティストから選んでいるんですが、この3曲は自分の作ったもので、いまクラブで聴いて踊りたいなって思う曲なんです。iriちゃんの『CAKE』は、友達のDJが現場でよくプレイしてくれてて、これをかけると良い雰囲気作れるよって言ってもらえてる曲です。

編集部:確かに。iriの曲はみんな好きだし、曲がかかるとみんな踊ったり口ずさんだりしてますもん。

グルスポ:そうなんです。僕もタイミングがあればかけたいなと。この曲を作った頃は、ちょっとテンポの遅い4つ打ちっていうか、フューチャーディスコまでいかないけど4つ打ちライクなR&Bが流行ってて、ドンピシャに好きな感じのアレンジができた曲で自分でもすごく気に入ってるんです。ちなみにiriちゃんは、僕のサウンドクラウドを高校生のときに聴いてくれてたそうで、それがきっかけで一緒にやることになったんです。いや~嬉しかったですね。

02 eill / Succubus feat. Kvi Baba (grooveman Spot Remix) 

編集部:2曲目はガールフイナムでもインタビューをしたことがあるeillですね。彼女は良いですよね~。

グルスポ:eillちゃんのことを知ったのはサウンドクラウドなんですけど、あるときサウンドクラウドで韓国のアーティストを掘ってたら彼女にたどり着いて。

編集部:eillはすごい韓国好きなんですよね。デビュー前かな? 韓国語でサウンドクラウドに曲アップしたりしてましたもんね。

グルスポ:で、僕が仙台のラウンジイベントでeillちゃんのサウンドクラウドにあった曲をかけてて、それをSNSにタグ付してアップしたらメッセージをくれて、その後にマネージャーから連絡が来て一緒にやりましょうと。

編集部:SNS効果すごいですね(笑)。

グルスポ:この曲はリミックスなんですが、原曲はもっとしっとりした印象なんですが、僕は違う感じでやりたいなと思って。そういうときは僕って自分からこういう感じでやらしてください! って言っちゃうタイプなんですが、それでできたのがこのgrooveman Spot Remixです。これもiriちゃんのと同じで、良いアプローチができた曲で、たまにSpotifyで聴いてウンウンってうなずいてます(笑)。

編集部:爆(笑)。自ら称賛してるわけですね。

グルスポ:eillちゃんはすごいがんばり屋で、一生懸命さが伝わってきて。だってまだ20歳とかですよ。僕その頃なんて何もできなかったなあ…。

編集部:20歳の頃なんて1人で音楽聴いて漫画読んで映画観てましたよ。何もしてない(笑)。

グルスポ:いまがんばってる若い世代の子たちと、自分の若い頃をくらべるととんでもないですよ。すごいことやってるなあって。必死に曲を書いて、あんな大勢の前でライブして。本当にすごいと思いますね。

03 一十三十一 / Night Flight Telephone Call feat. PUNPEE

グルスポ:一十三十一(ひとみとい)さんは普通にファンです(笑)。てゆーか、曲を書いてる人はみんな彼女のファン(笑笑)。そのくらい素敵な人です! 僕と同い年ですから。いや~素敵。

編集部:一十三十一は確かにみんな好きですね。特に男の人は全員が好きな印象です(笑)。

グルスポ:2012年リリースの『CITY DIVE』くらいから、うわ~いいなあ~と思って普通にCDを買って聴いてて、その音源で勝手に4つ打ちバージョンを作ってたんですね。それを聴いた友達のDJが、あの曲かけたいんでデータ送ってくださいって連絡が来て。で、それをクラブで流してたらその場に本人がいたらしく、何コレ? ってなったと(笑)。

編集部:すごい偶然。

グルスポ:そしたら何と携帯に本人から直接電話かかってきて、留守電にメッセージが入ってたんです。そのメッセージはしばらく消せませんでしたよ(笑)。

編集部:確かに~。それは消せない! 普通に「一十三十一と申しますが~」って感じだったんですか?

グルスポ:そうです。「もしもーし。一十三十一でーす!」みたいな(笑)。で、そこからアルバム3枚一緒にやらせてもらって。その中でもいちばん印象深いのがこの曲というわけです。

04 Devita / Show Me (grooveman Spot Remix)

グルスポ:韓国のレーベル「8BallTown」のアーティストのデビータちゃんは、前に向こうで会ったことがあるんですが、自己紹介でgrooveman Spotです。って言ったら「Oh! あなたレジェンドだよ!」って言われました(笑)。

編集部:韓国にもgrooveman Spotの名が轟いているんですね。流石です。

グルスポ:彼女もまだ20歳そこそこなんですがスキルがすごくて、デビューしたときに絶対一緒にやりたいと思って、この曲のリミックスをやらせてほしいとお願いしました。作った曲は自由に使っていいよって言ってたんですが、今度日本だとディスクユニオンから正式にリリースされることが決まったみたいです。

編集部:この曲かっこいいですね。これはフィジカル(注:CD、レコード、カセットなど実物があるメディアのことです。)でも欲しい! ちなみに韓国のアーティストたちとのつながりはどうやってできたんですか?

グルスポ:FNCYのZEN-LA-ROCKくんの友達で、8BallTownのKIRINってアーティストがいるんですけど、2人が一緒に曲をやるのにニュー・ジャック・スウィング調の曲を作りたかったらしく、日本でニュー・ジャック・スウィングといえばgrooveman Spotしかいないだろ! となったと。そこからですね。

編集部:8BallTownは日本でも人気ですよね。少しアッパーな世代の人にも刺さるっていうか。

グルスポ:もう2周くらい回ってる90年代なR&Bとか、80年代のAOR、シティポップがちょうど良い具合に消化されてる感じ。

編集部:そういうエッセンスがあるけどちゃんと新しい音に聴こえるし、そこに韓国語の音の響きがかっこよく聴こえるんですよね~。

グルスポ:あ、ちなみにですが、韓国人でいちばん好きなのは、ペ・スジです(笑)。オカモトレイジくんもペ・スジが好きらしいですよ。

05 Aaliyah / Back And Forth

編集部:出ました! grooveman Spotと言えばアリーヤですね(笑)。普段から好きが溢れてますもんね。ここからはオールタイム・フェイバリットな3曲ということですが、アリーヤはいっぱい良い曲がある中で、なぜに『Back And Forth』なのか教えてください。

グルスポ:う~ん。DJのときにちょっと懐かしいR&Bいこうかなって思ったときに、多分この曲をいちばんかけてると思うんですね。パッとすぐ思い浮かびますもん。これで女の子たちが揺れながら踊ってるのが想像できちゃう。アリーヤのことは好きすぎて、勝手に“亡き妻”なんて言っちゃってますけど、もはや音楽以外の部分なのかなって思います。だって彼女が生きてたら僕のひとつ下くらいでほぼ同世代ですよ。もしアリーヤがいまも生きてて、すごいポップな音楽をやってたとしたら、ここまでアリーヤアリーヤ言ってないんじゃないかなあ。あのときあの時代のままで止まってるから、僕らの気持ちもそのままでアリーヤも生き続けてるっていうか、だから変な言い方だけど、ちょうど良いところでいなくなってしまったなと思いますね。

編集部:う~む。深い…。愛ですね。ちなみに、2番目に好きな曲も教えてください。

グルスポ:難しい質問ですね。やっぱりファーストアルバムがいちばん気持ち良いんですよね。プロデューサーのR・ケリーの手腕がすごい。セカンドからはティンバランドになっちゃうんで全く別物な感じがしますよね。なんだろう2番目…。あ、後期の曲ですが『Rock The Boat』が好きです。CDシングル、レコードの12インチ、7インチ全部揃えてます。

06 Blackstreet / Deep

編集部:次はBlackstreetです。こちらも名曲揃いなグループですね。

グルスポ:はい。来ました! Blackstreet。彼らを語る上では、僕の神様、テディ・ライリーの存在は外せませんよ。彼の作品は80年代にGUYでやってたニュー・ジャック・スウィングから全部好きなんですが、この「Deep」はリードボーカルがトークボックスの曲なんですね。これがもう、いつどこでかけても最高なんですよ。例えば、DJが終わって最後にもう一曲なんて場面でかけると、曲を知らない人もみんな踊れちゃう。いまのR&Bにも通じる部分もあって、若い世代にもハマりそうな一曲だと思います。

編集部:テディ・ライリーやニュー・ジャック・スウィングは、良い曲がたくさんありますもんね。

グルスポ:そうですね~。一回やそこらじゃ語れないですね。いつかテディ・ライリー特集をやっても良いくらい。深く掘り下げたいですね。

編集部:朝まで話せますねそれは(笑)。

グルスポ:お酒が必要ですね(笑)。

07 Janet Jackson / Any Time, Any Place

グルスポ:テディ・ライリーと同じくらい好きなプロデューサーが、ジャム&ルイスこと、ジミー・ジャムとテリー・ルイス。彼らとジャネット・ジャクソンは名タッグですね。それこそ名曲がたくさんあるジャネットですが、この曲を選んだのは、究極にセクシーだなと思ったからです。何て言うか、いやらしい! イヤラシイんですよ(笑)。MVを観てほしいんですが、ジャネットがアパートの向かいに住んでる男の子を鍵穴から覗いてて…まあ観てください(笑)。

編集部:ちょっといま観ていいですか? (YouTube検索中)あ~確かに覗いてますね。そしてこれはイヤラシイ(笑)。てゆーかセクシーですね。

グルスポ:例えばジャネットって『That’s The Way Love Goes』とかもすごく良い曲でいつでも聴けるんだけど、好きすぎなのもあって今回思い浮かんだのはこっちでした。この曲はシングルだとR・ケリーのリミックスも入ってたり、MUROさんが昔ミックステープに入れてたC・J・マッキントッシュのリミックスが入ってたり、聴きどころは多いんですがここではあえてアルバムバージョンがいいなと思いました。なんとなくまとめると、この3曲は、R・ケリー、テディ・ライリー、ジャム&ルイスといったプロデューサー含めて好きな曲なんですね。

編集部:なるほどですね~。ありがとうございます! という感じで初回は終了なんですが、grooveman Spotさん的に今回の総括はありますか?

グルスポ:そうですね~。これ若い子は興味あるのかな?(笑)。

編集部:良いんじゃないですかねこれで。grooveman Spotさんの私的な部分が見えておもしろいですし(笑)、そもそもこの頃の曲ってまた流行ってたりするじゃないですか。

グルスポ:そうなんですよね。僕調べなんですけど音楽とかファッションって20年周期でトレンドが来てるなと思ってて、ちょっと前は90年代ブームでしたよね? だからこの先00年代くらいのロッカフェラあたりの音がジワジワ流行るんじゃないかと予想してます。

編集部:なるほど。その説は正しいような気がします!

グルスポ:というのもあって、僕は昨日メルカリで〈FUBU〉のスウェットを買いました(笑)。

編集部:それはかなりヤバいですね(笑)。着た写真をぜひインスタに公開してください!

※Devita / Show Me (grooveman Spot Remix)はSpotifyに曲がないのでサウンドクラウドで聴いてください。

PROFILE
grooveman Spot

音楽とスポーツをこよなく愛する『女性に優しいハードコア集団』JAZZYSPORTに所属するDJ / トラックメーカー / プロデューサー。国内外のさまざまなジャンルのアーティストの楽曲、リミックスを手掛ける。ご飯とお酒をこよなく愛する食通としても知られ、1月頭にDJで訪れた福岡では、行けば必ず食べるというヌワラエリアのドライカレーと、最近話題のキャンチョメカレーを並んで食べたそう。仙台のカレーシーンを日々憂いている。
@groovemanspot