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松野仁美/ヘッドピースクリエイター・ヘアメイク
彼女のダンステリア 松野仁美/ヘッドピースクリエイター・ヘアメイク 幼い頃に夢見た空想の世界をリアルな3Dに。

彼女のダンステリア
松野仁美/ヘッドピースクリエイター・ヘアメイク
幼い頃に夢見た空想の世界をリアルな3Dに。

2020.12.04

“ガールとカルチャーがドッキング⁉︎”
これは私たちのアンセム、シンディ・ローパーの日本盤LPレコードの帯にあったキャッチコピーから。
一見むちゃくちゃに読み取れるけど、でもだんだん愛着が湧いてきました。
男子に負けず刺激的なクリエイションを提示する人たち。
編集部員が心からファンになったアーティストと向き合い、
彼女たちが何を思い、何のためにクリエイティブでいるのかについてしっかりと聞いてきました。

松野仁美、ヘッドピースクリエイター兼ヘアメイクアップアーティスト。ルトーア東亜美容専門学校卒業後、大阪でサロン勤務を経てヘアメイクMASAYUKI氏に師事。2013年に独立後は国内外のファッション誌やカタログ、Music Videoなどで活躍中。「ガールフイナムが気になる子」「気になるTシャツとリップメイクの女の子」「豪州の2強インディー・ポップバンドが通ります」などガールフイナムでも多くの企画でお世話になっています。2019年より、プライベートで続けていたヘッドピース作りを本格始動!

Instagram @matsuno71

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ー松野さんはガールフイナムの初期の頃からヘアメイクさんとしてご一緒してます。初めてお会いしたとき、エハラミキちゃんのメイクで額から目元にラメを載せたのが本当に印象的で。
なつかしいですね。もう4年くらい前ですか。
ー毎回記憶に残るヘアメイクを提案してくれますが、最近ヘッドピース作品をインスタにアップしていますよね。自分のヘアメイクの幅を広げるために作り始めたんでしょうか。
そうでもなくて…。そもそも、このヘッドピースは自分がヘアメイクする前提で作っているワケではないんです。
ーえ!(困惑)
気に入って「使いたい」と思ってもらえたら貸し出ししたくて。この前もコムアイさんの撮影で、メイクのユカハイラックさんが取り入れてくださって嬉しかったです。
ーほんとだ…! これは想像してたインタビューとは方向が変わってきました(笑)。そもそもヘッドピースを作り始めたきっかけは?
私、90年代の〈コム・デ・ギャルソン(COMME des GARCONS)〉とか〈アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN®)〉のクリエイションに刺激を受けた世代なんです。ヘアメイクを目指したのも加茂克也さんに憧れてですし。なのでヘアとメイクを服に合わせて「整える」というより、世界観に合わせて「作りあげる」前提のヘアメイクを目指していたんですね。
ーなるほど。
ただその「作る」前提のヘアメイクって、リアルなトレンドや共感を求めるいまのファッション業界で提案するのって難しくて。メイクからの新しい創造より、立体物や造形のほうが向いている気がして、ヘッドピース作りをはじめました。

ーいつ頃始めたんですか?
独立直後は、作品撮り用にいくつか作っていたんですけど…。フォトグラファーの方もスタイリストさんもそんなにヘッドピースを使ったクリエイティブって好きじゃないんだなって気づいて封印していたんです。ヘッドピースってうまくハマればかっこいいんですけど、下手すると激しくなりすぎて悪目立ちしちゃうんですよね(笑)。
ーあー、なんとなくわかります。
いい塩梅で取り入れてくれそうなのはすでに活躍されているみなさんで。こちらから「このヘッドピースを使いたいから作品撮りしましょう」って声をかけるのも忍びない(笑)。そんななか、ZOMBIE-CHANGのメイリンがアルバムのジャケ写で使ってくれたんです! これはヘアメイクも担当させてもらいましたが、いろいろ相談して詰めていって楽しい作業でした。うーん、こういう作り込むようなビジュアルってファッション系よりミュージシャンやアーティストのほうが合うんじゃないかなって最近は思っています。
ーヘッドピースはどんなイメージで作っているんですか?
全体的にはフューチャー感のあるテンションを意識しています。小さい頃、SFっぽいアニメやゲームが好きだったんですよ。あと初期のシリーズは日本の神話をイメージして作りました。
ーおお! 意外なところがイメージソースなんですね。
宗教って元を辿ると全部つながっていると思うんです。太陽神がいて、戦いを司る神がいて。私たちはもともと宗教の存在が薄い国に生まれたけど、でもイザナギ/イザナミやアマテラスの名前やエピソードは知っている。それは本から知識を得た人もいるけど、アニメや漫画からかもしれない。カルチャーからその存在を知るのがおもしろいですよね。

アマテラスをイメージしたシリーズは赤を基調に。

アメリカンフラワーが存在感を放ちます。

あとは能楽の衣装も意識しました。能面に目が行きがちですが、いろいろ調べると能楽って「かぶりもの」がすごく凝っていてかわいいんですよ。とくに華やかな冠は神や天女がつけることが多くて。そこも神話と通じるものがあるなと。
ー最近の作品はチューブなどが使われていてまた違う印象ですね。
いま作っているRPGシリーズはよりSF感っぽい雰囲気に寄せたものです。小さい頃、兄がRPGゲームをやっているのをよく隣で見ていて。自分がコントローラーを握る役じゃないと、ゲームそのものよりストーリーやキャラクターに興味が湧くじゃないですか(笑)。『ファイナルファンタジー』や『ロマンシング サ・ガ』などの名作の中で私がいちばん好きだったのが『テイルズ オブ デスティニー』で。最近ふと思い出してキャラクターデザインを担当した、いのまたむつみさんのイラスト集を買ったんです。こういう世界観がいいなと思って始めたシリーズです。

こちらはPRGシリーズの「ドルフィン」。ぜひ松野さんのインスタでヘアメイクといっしょにご覧ください。

ー(ウズウズ)私もつけてみていいですか?
もちろんです!
ーあ! 意外と軽いし安定感があるんですね。
そうなんです。撮影はもちろんですがゆくゆくはライブとかでもつけてもらいたいので、素材も軽量で誰がつけても簡単な調整でフィットするように作っています。あとはヘアメイクもしやすいようにしていて。これに関しては本業の経験値があってよかった〜。
ー誰につけてほしいとかありますか?
ジャンル関係なく、好きだと思ってくれた人に。あ、でも韓国のアーティストKAITEをイメージして作ったものがあるんです。何度かMVなどでヘアメイクさせてもらっていて、本当は今年4月にLAで撮影するはずだったんですが流れてしまって。神話シリーズは花が印象的なので甘い顔立ちの子がつけるとかわいくなりすぎて、神っぽさがなくちゃっうんですよね(笑)。そういう意味でスッキリしたアジア系の顔立ちの子につけてもらえたら。 あとフィーリングや関心があるものが似ているマイカ・ルブテちゃんにもお願いしたいな〜。彼女は確固たる自分というものがあるのでヘッドピースを必要とするシーンは少ないかもしれませんが。趣味がアニメとゲームっていうところや社会問題に対しての考えも似ていて共通点が多いのでぜひ!

ビーズやパールを駆使し、イメージに従って手を動かし形作っていきます。

いつか、ヘッドピースをベースにしてグラフィックやCGを重ねてみたいですね。例えばライブ中、みんながカメラをかざせばヘッドピースが動くとか! ファッション業界以外のクリエイターの方と組んでみたいなって思っているんです。誰かいないですかね(笑)。

自分のことは自分で紹介! 松野仁美についてのライナーノーツ。

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