GIRL HOUYHNHNMGirls Just Want To Have Fun!
Kaoruko / シンガー・ソングライター
彼女のダンステリア Kaoruko  / シンガー・ソングライター 人の繋がりを楽しみながら、EP絶賛仕込み中。

彼女のダンステリア
Kaoruko / シンガー・ソングライター
人の繋がりを楽しみながら、EP絶賛仕込み中。

2022.11.07

“ガールとカルチャーがドッキング⁉︎”
これは私たちが大切にしているシンディのあの歌にあった和題のキャッチコピーから。
一見むちゃくちゃに読み取れるけど、でもだんだん愛着が湧いてきました。
男子に負けず刺激的なクリエイションを提示する人たち。
編集部員が心からファンになったアーティストと向き合い、
彼女たちが何を思い、何のためにクリエイティブでいるのかについてしっかりと聞いてきました。

Kaoruko、シンガー・ソングライター。横須賀生まれ新宿育ち。生粋のアイドル好きという一面があり、一時はアイドルとして3年間活動していたことも。そのときに感じられたアドレナリンを忘れられずグループ解散後も音楽を続けることを決意。宅録での制作から始まったアーティスト活動は、いまではさまざまなアーティストとのコラボに至るまで広がる。今年末にはkZmが立ち上げたレーベルDe-void*からのEPリリースが決定。

Instagram @_kaoruko___

▶︎▶︎彼女のライナーノーツはこちら

Kaorukoちゃんには度々記事でもお世話になってるし、きっと読者の方にとっても気になる存在ではあると思うのですが、ちゃんとアーティスト活動について話してもらう機会がなかったので、今日は改めて根掘り葉掘り聞かせてください!
火鍋巡り楽しかったね! 今日もよろしく〜。
最初はアイドルとして活動してたそうですが、そこからどうやっていまのスタイルに落ち着いたのかが気になります。もともと好きだった音楽はアイドルソング?
まだ物心がついていないときに、すでにハマってた音楽がアイドルだったんだよね。幼稚園の頃にモーニング娘。が大好きで。なぜだかわかんないけど、みんな好きだったじゃん?
テレビっ子だったとか?
テレビの影響は大きい。いとこがKAT-TUNとかジャニーズが大好きで、よく一緒に彼らが出てる番組を見てたから、小中学校のときはジャニーズばっかり聞いてた。女子アイドルにハマったのは友達に連れて行ってもらったライブである曲が心に残ったのがきっかけで。そこからどんどん沼って、高校時代の放課後は地下アイドルのライブにに通うように。
総じて、当時のKaorukoちゃんはアイドルのなにに惹かれてたのでしょうか?
「あの子がかわいい! 」と顔から入るよりは、曲先行だったな。こういう曲を私も歌いたい! とか。私は基本的にテンションが高い方じゃないんだけど、アイドルの曲を聞くときだけブチ上がれるんだよね。やっぱアイドルソングってめっちゃいいよね、アドレナリンが出る感じ! あとライブしたら楽しいんだろうなって思ってて、高校生のときは鏡の前で踊ってた。そうしてたら推しのライブに行ったときにスカウトされて、そのままアイドルになりました。
自分の推しと同じグループに入るって、冷静にすごい状況ですね?
最初はダンスも歌も超下手だったし、そもそもオタクだったからステージに立つのも無理! って思ってた。
結局それはどれくらい活動を続けてたのですか?
確か大学の3年間くらいかな。毎週末遠征ライブがあったから、帰りの車でレポートを仕上げて寝ずに授業へ行くみたいな、そのときはほぼそんな生活で、大学で友達ができなかったのはそのせいかも。
アイドル活動に終止符が打たれたのはいつ?
グループが解散したとき。私は続けたかったけど!
そのときのグループが解散してなかったらいま頃、アイドルのKaorukoちゃんが存在してたかも?
そっちの私もいいな〜!(笑) アイドルで成功してたらそれはそれで夢だったな。
解散後、ひとりで音楽を始めようと思うようになったのは?
大学4年のころで、最初は一年間事務所に所属してたけど、そこに居ても結局あんまり意味がなくて。でも卒業するしこれからどうしようって考えてたときに、音楽はやりたいなとは明確に思い始めてた。でもアイドルのときって自分で音楽を作ったことも歌詞を書いたこともなかったから、どうやればいいんだって最初はひたすら模索してた。
当時関わってた人は、いま音楽を一緒に作ってるような人とはまったく別ジャンルの方なんでしょうか?
そのときによく遊んでくれてた他グループのマネージャーに仲良い人がいて、その人には「ひとりで音楽やりたい」という相談をしてて。その時に紹介してくれたアーティストが、いまとなってはめっちゃ近い存在なんだけど、TREKKIE TRAXっていうインディーレーベルからリリースしてる人だったの。クラブカルチャーについてはまったく知らなかったけど、最初はその人にビートを作ってもらってた。
初期騒動では、どんな曲を作りたいと思った?
正直なんのイメージもなくて、何を歌いたいのかもわかんなかった。でも、とにかく歌いたいという気持ちはあって、PCを買って自分で作ってみようと遊び感覚で作り始めた。その流れで2020年のコロナ禍に出した自作EPが「SyGyZy」かな。
エネルギッシュなアイドルソングとはまったく別ベクトルな曲調!
感覚でしかなかったけど、こういう曲以外、素人だったから作れなかったってのがリアルかも。録音もPCでしてたから音が割れてるし、いま思うとよくこれで出したなって思う。(笑) でもそのEPを出しきったことは振り返ると自分のなかでは印象深い。
作りたいと思っても、実行することは誰でもできることではないですもんね。リリックについては?
はじめて書いたときは、怠惰な生活してたから時間があり余ってて、ひとりで散歩してるときに頭に浮かんだ言葉をつないでたり。そこも探り探りでしたね。
手探りの状態から曲を作り進めるうちに、欲はどんどん増していった?
そうだね。ずっとひとりだったから、誰かと一緒に曲を作ったり、プロデュースして欲しいとも思いはじめてた。TREKKIE TRAXのパーティに行ったり、自分が出たライブで知り合った人のイベントにも行ったり、クラブでも遊び初めてからダンスミュージックもどんどん楽しくなってきて、段々と人との繋がりもできてきた。
そのときの繋がりは、後の音楽作りにも影響が?
多分「MITSUKI」でかな、遊んでるときにtokyovitaminのKenchanに出会って。会って3回目くらいにtokyovitaminでコンピレーションアルバムを出すから一緒にやらない? って誘ってもらったのは大きかったな。
2021年にリリースされた『Vitamin Yellow』?
そうそう! 断る理由もないし「やりたい」の即答だった。そのときに「Kaorukoに合いそうなStones Taroっていうプロデューサーがいるよ」って教えてくれて。まったく知らなかったんだけど京都で活動してた方で、その人と曲を作ることに。
確かに、アルバムにMIYACHIさんをはじめとする多くのアーティストが名を連ねるなかに、Kaorukoちゃんの名前があったのは印象深かったです。何がきっかけだったんでしょうか?
過去に「MERCURY」という曲を出してたんだけど、それをKenchanが聴いてくれてて、いいね〜って言ってもらったのがきっかけかな? その後に一緒にやろうって話をしてもらった気がする。 これも全部自分で作っていて、MVはとくにお気に入り!
なるほど。
思えば、tokyovitaminで曲を出したあとくらいから? 自分がやりたい音楽が定まってきたのは。いまでもだけど、それまではかなり模索が続いてて「こういうビートでやりたい! 」って思えるようになったのはあのときからなのかも。
出会いに感謝ですね。
あるとき、ずっと一緒に曲作りをしててくれた子と突然会えなくなってしまったことがあって、私結構ピンチだやばいなって思ってた時期があって。KenchanとかkZmと「Beat Cafe」で飲んで、落ち込んでその話をしたときに、彼らは覚えてないかもしれないけど「そういうときに俺らがいるんだよ」って言ってくれて。それにすごい救われたんだよね。あの2人には本当に感謝しかない!

右がKenchan!

曲作りの話に戻りますが、このときから聴く曲にも変化が?
アイドルも聴くし、いまだになんでも聴くスタイルは変わってない! でもダンスミュージックにハマってからはDJのミックスとかを聴くようになったかも。
普段聴く曲と、作りたい曲は影響しあってる?
全部が影響しあってる気がする! 最近だとPaleduskってバンドのひとりと曲を作ってて、彼がギター一本で超シンプルな曲をつくってたんだけどそれがおもしろかったな。ドラムとかが一切入らないようなアコースティックな曲もいいなって思った。歌がうまくならないとやばいけど。とにかく好きなジャンルを一個だけに絞れないし、本当にいろんな曲をいっぱいやりたいんだよね!
コラボレーションする人との化学反応が楽しいですね。
そうかもしれない。それこそ年末に向けてEPを準備中なんだけど、実はそのなかに自分で作った曲は一個も入ってなくて、全部違うアーティストにビートを作ってもらってるんだ。5曲入りなんだけど、曲調もジャンルも全部バラバラ! 一個はめっちゃポップスだったりもする。
それは楽しみ!
ね〜 早く出したい。
各コラボ相手にはどんなオーダーをしてる?
人それぞれだけど、向こうから送ってもらうこともあれば、自分から最近こういう曲が好きで〜とか話たり、そういうやりとりもある。
いろんな人と曲を作っていくなかで、自分的にこだわりたいポイントは?
決まってないかも、曲によって全然違うのかな? 直近でkZmとリリースした「babyface」は、「渋谷で遊んでるぜ〜」っていうハウスっぽいクラブでの夜遊びの曲だったから、サビはキャッチーで踊れるような感じがいいなと話してた。けど逆に昨日作った曲は、フロウよりも歌詞を詰め込みたいっていうところだったり。曲とそのときの気持ちに寄るのかも。
Kaorukoちゃんは今年の夏にレーベルとしても始動したkZmさんのコレクティブDe-void*からリリースすることになると前聞きましたが、この曲もそれがきっかけ?
レーベルに入る前から曲を作る話はしてて、そのタイミングでDe-void*を立ち上げるから一緒にやらない?って誘ってもらったのかな。kZmはもともとヒップホップの人だけど、怖くない曲が多くてそれがずっと好きだったから嬉しかった。いろいろなタイミングが重なり、サポートしていただいてます。
そういえば、De-void*が先日開催したイベント「Jungle clash*」に行ったけどすごい楽しかった! 出演アーティストとDJ陣のケミカルもすごかったし、ジャンルの架け橋的な取り組みがおもしろかったです。KaorukoちゃんもVol.1には参加してましたよね?
楽しかったね! ラインナップもヒップホップアーティストからクラブで聴くようなDJまで出てたり、kZmさんらしいよね。もともとダンスミュージックに興味がないヒップホップヘッズがこういうイベントをきっかけに、ライブの転換の時間としてだけじゃないDJタイムを楽しめたらいいねというコンセプトでやってるらしいよ。
それって、Kaorukoちゃんのバックグラウンド的にも共感できる部分なんでしょうか?
そうだね。 私もそうだったけど、ダンスミュージックをまったく知らないときは、そのおもしろさがわからないこともあったけど、わからないものを閉ざさず開放的に遊べたら最高だなって思えたから。そのイベントの朝方の3、4時くらいのDJタイムに、普段テクノとか聞かなさそうなヒップホップ系の男子2人が最前で踊りながら「俺ら超アウェイじゃない?」って言いながらも「まあいいっしょ! 」って話してて、その会話がすごくよかった。みんな本当なんでもいいんだよね!
次にリリースされるEPで、そのマインドが体現されていくんですね。
もともと「こうしなきゃ」って白黒つけたがる性格だったけど、最近は自由になんでもやっていいんだって、やっと思えるようになったよ。それは年の離れた友達とよく遊ぶようになって気づけたし、いまいる環境や周りの人のおかげだな〜 なんてしみじみ。
うまくいくといいですね!
最近ようやくそこに気づいた段階だから、今後それとどう向き合っていくかってゾーンに入っていくのかな。
最後に、直近の目標があったら教えてください。
いままでは自分の気持ちを消化するための道具として自己解決で終わっていた私の音楽が、一種のコミュニケーションツールになっていったら嬉しいなと思います。準備中のEPはとくにたくさんの方に関わっていただきながら作っているから。周りのアーティストと共有し合って私が楽しいって思えるものを、聴いてくださるみなさんにも楽しんでもらえるようなものを作りたいって気持ち。
それってかなり大きな心境の変化ですね。
私も自分がこんなふうに思えるようになるとは思わなかった。いまは大きなゴールはわからないけど、向き合い方がやっとわかってきた気がする。まずは次のEPをお楽しみに〜!

自分のことは自分で紹介! Kaorukoについてのライナーノーツ。

◀︎◀︎トップに戻る