My Graduation Artwork.
相川茉穂のガールフイナム卒業制作。
いつもは読者のみなさんが主役で企画を考えておりますが
今回だけごめんなさいっ! 編集部のはなむけの気持ちを形にさせていただきます。
ガールフイナムでアルバイトをしていた相川茉穂さんが編集部を卒業して
モデル・女優として羽ばたくことになりました(拍手!)
美大に通う相川さんなので、編集部から旅立つ『卒業制作』として、
キャスティングからディレクションまでを担当してもらったこの企画。
編集部での経験から今後のことまでを語った後半のインタビューも必見です。
Direction_Maho Aikawa(N・F・B)
Photo_Takahiro Otsuji(go relax E more)
Styling_Ayano Nakai
Hair & Make-up_Masayoshi Okudaira
Model_Chika Arakawa
Profile
1999年3月26日生まれ、神奈川県出身。アイドル活動を経て美術大学へ進学。美大では写真学科を専攻し勉強に励みつつ、大学3年生時から約1年間ガールフイナム編集部にアルバイトとして在籍。2020年10月より芸能活動を再開。好きな食べ物は唐揚げ、好きな写真家は杉本博司氏。「卒業制作として、私が大好きなアートとファッションを
MIXした企画を考えました。
写真の父と言われるアルフレッド・スティーグリッツが
ニューヨークに構えていた『291ギャラリー』をテーマにし、
そこに名を連ねていたアーティストたちの作品を現代に蘇らせてみました。
スワイプしてお楽しみください」
オーギュスト・ロダン
『カレーの市民』
悲しみの先には生きる喜びが。
Auguste Rodin
Les Bourgeois de Calais
作品と見比べる。
アンリ・マティス
『緑の筋のあるマティス夫人の肖像』
鮮やかさと奇妙さが共存する空間で。
Henri Marisse
The Green Stripe
作品と見比べる。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
『座る女道化師シャオ・ユ・カオ』
ファッションをマネたい道化師。
Henri de Toulouse-Lautrec
Cha-U-Kao, Chinese Clown, Seated
作品と見比べる。
マルセル・デュシャン
『泉』
概念としてのアート、
概念としてのモデル。
Marcel Duchamp
Foundation
作品と見比べる。
パブロ・ピカソ
『ドラ・マールの肖像』
混沌と静寂のはざまで。
Pablo Piccaso
A portrait of Dra Maar
作品と見比べる。
Credit
Style 1
Style 2
Style 3
Style 4
Style 5
Style 6
ここからは相川さんにガールフイナムでのお仕事のこと、
今後のことなど根掘り葉掘り聞いちゃいます。
- ーまずは撮影とディレクション、お疲れ様でした。
- すごく楽しかったです。ありがとうございます!
- ー初めて編集の立場で参加した撮影はいかがでしたか??
- 仕上がりを想像しながら、みなさんでアイデアを出し合って作品をつくりあげていくライブ感がすごかったです。太陽の向きや背景、色味や表情など、いろんな要素を考えて瞬時に判断しなくてはいけないので、頭の回転が早くないとついていけなですね。初めてのことだったので、スタッフさんたちのスピードについていくのに必死でした。
- ースタッフサイドに立った最初の撮影で、ディレクションするという難しい立場だったと思います。でも悩まずに自分のやりたい方向性をぱっと判断していてさすがだなと思いました。
- フォトグラファーの大辻さんが必ず「どう思う?」と聞いてくださって意見が言いやすかったです。AかBかで意見が分かれたときも、私の気持ちを優先してくださって申し訳ないやらありがたいやら。あと大辻さんとモデルの荒川ちかちゃんに私のイメージを共有して、想像通りの絵が撮れた瞬間は感激でした。2人に伝わって「そうそうこういう感じ!」となる瞬間が編集の醍醐味なんだなって。
- ー豪華なスタッフ勢でしたが、みなさんとのお仕事はいかがでしたか?
- 月並みな表現になっていまいますが、改めてプロってすごいなって思いました。大辻さんは女の子をかわいく、その人のキャラクターに合った撮り方をされるじゃないですか。きっと誰もが撮ってほしいと思っていますもんね。実際、今回モデルをしてくれたちかちゃんもずっと大辻さんに撮ってほしいと思ってたそうです。さらに今回の撮影はアート作品がテーマだったから、それぞれの絵や彫刻の意図をいっしょに考えてくださって「本当にありがとうございます」とお伝えしたいです。スタイリストの中井さんは私の好きなものをすごく理解してくださいますし、ヘアメイクの奥平さんのアートメイクのすごさを生で拝見できましたし。またご一緒できるようにがんばります!
- ー今回、291ギャラリーをテーマにしようと思った理由を教えてください。
- 編集部に籍を置いてファッションのお仕事をしたことと、私の好きなアートを組み合わせたくて…。写真家のスティーグリッツをテーマにしたなにかできないかなと考えていたときに、ふとPCに貼っていたガールフイナムの名刺が目に入りました。編集部の住所は“2丁目9番地”なんですが、これはスティーグリッツの“291ギャラリー”と運命的なつながりがあると鳥肌が立って! こじつけかもしれませんが、291ギャラリーに作品を置いていたアーティストの名作をモチーフにしたファッション撮影を思いつきました。
- ー企画の説明をするときに「同じ住所なんです!」と目を輝かせていたのが本当に印象的でした。ちなみに相川さんとアートとの出会いはいつですか。
- 小さい頃からよく母に美術館に連れて行ってもらいました。あとは「常に美的感覚を磨くようにしなさい」と言われていて。美容院は素敵なところに行く、お洋服も素敵なお店で選ぶなどの経験のなかで、母の周りのセンスのいい大人の方からたくさんいろんなことを教わりました。
- ー素敵なお母さんですね。相川さん自身も確固たる自分というものがあるように感じます。
- そんなかっこいいものではないです…(照)。ただ中高生のときもお友達とカフェでおしゃべりするより、ひとりで散歩をしたり美術がよくわからないなりにもギャラリーに行ったりする時間が好きでした。あとはファッションや家具、食器などを自分好みにしていくのが趣味だったので…。美術館で見つけた小物をちょっとずつ集めるうちに、身の回りがアートであふれるようになって。
- ーそこから自然と美大を目指すようになったんですか?
- うーん、そうですね。あとは祖父と曽祖父が画家で、小さい頃から絵画は近い存在にありました。母も美大出身なのですが私は自分がアーティストになりたい!という気持ちはあまりなくて。写真が好きだけどフォトグラファーになりたいわけではないし…。写真誌をもっと読めるようになったり、写真展に行ったらもっと深く観れたらいいなと思い、進学しました。
- ー将来の仕事のために技術を学ぶというより、自分の目を鍛えたい的なことですか?
- この写真や絵の裏側にあるストーリーを知りたいという面倒くさいタイプなんです(笑)。好きな作家も偏屈な人が多いですし。
私が書いた記事を読んで、商品を買ったのかなって想像するだけでワクワクしました。
- ーここからはガールフイナムでのアルバイトについて伺います。編集部に入ろうと思ったきっかけは覚えていますか?
- 将来のことを考えたときに、「ファッションのお仕事がしたい。でも文章も書きたい」と思ったんです。日記的に書いていたブログを続けるのが楽しかったのと、前のタレント活動中も「もっとお洋服のことを聞いてほしいな」と思うくらいファッションが好きだったので…。もともと、ガールフイナムの読者であり好きな媒体だったのですが、ご縁があって知り合いの方に紹介いただけけることになりました。
- ーなんだかありがとうございます! 読者としてはガールのどこらへんが好きだったんですか?
- 編集の仕事に憧れていたので、「物欲NONストップ!」や「編集部の今月をスナップショット。」など編集部員のキャラクターが垣間見れたり、裏側が覗ける企画が好きでした。タレントのオフショットはよく見れますが、編集の方の生活ってあんまり知れないじゃないですか。何食べているのかな、とか(笑)。
- ー編集部を1年経験して、想像していたエディター像との違いは?
- みなさん本当に忙しいんだなって。
- ー(笑)。ガールはほかに比べて同世代が多い編集部だと思いますが、年の近い先輩たちとの関係はいかがでした?
- 入る前から薄々「これは若い人が多いな」と気づいていて、私は同世代の友達があまりいないのでコミュニケーションが取れるか不安でした。あまり関わってこなかったコミュニティに入るんだなと。でも入ったらそんな心配ぜんぜんなくなりました。印象的だったのが連載「彼女のダンステリア」の人選を挙げる編集会議に参加したとき。みなさんリサーチ力がすごくて、SNSの時代とはいえ、こんなにたくさんの女性クリエイターをどうやってピックアップできるんだろうと驚きました。
- ー編集部では主にNEWSの原稿を書いてもらいました。
- 最初は自分の文章がアップされるだけでうれしかったですね。「書き終えた、載ってる、よしっ、頑張った!」って(笑)。いろんな人が書いたニュースや自分の記事を読み返すうちに、最初の導入で目を引かないと読んでもらえないと、タイトルをつけることの大切さをどんどん感じるようになりました。あと、うまく書けたときは「あ、これはたぶんみんな読んでくれる」って自画自賛していましたね。SNSでそのアイテムを買った人の投稿を見つけると、もしかして私のニュースを読んで購入したのかなって想像してニヤニヤしていました。
- ー何度も文章にダメ出しされて、書くのが嫌いになってないか心配です。
- いやいや、そんなことはないです! 大人になって文章を直される経験ってないじゃないですか。大学のレポートも提出するだけで戻しはないので。改めて文章を書くおもしろさと日本語の難しさを知ったので、今後の経験に活かしていきたいです!
- ーそのほか、「物欲NONストップ!」も途中から参加してもらいましたね。
- 編集の仕事への憧れとして、ブランドやPR会社から商品を借りて撮影して戻すという「リースと返却」がありました。大きなサンタさんみたいなバッグを持って走り回る、映画『プラダを着た悪魔』的なのをやってみたかったので。プレスルームでゆっくりお洋服を見られるわけじゃないけど、「いま私、編集部のお仕事をしている!」って感覚に酔っていました。
- ーコロナの前はイベントや展示会にも行きました。
- 誰よりも先に最新のファッションや商業施設などいろんなものを見せてもらえるのは編集の特権だなって思います。でもその華やかさももちろんですが、先輩たちがこの情報をどう切り取ってストーリーズに挙げるのかとか、こういう紹介をするんだなっていうのを横で見られたのがおもしろかったですね。
被写体としてのお仕事が増えても、文章を書いたりものづくりをしていきたい。
- ーこれから芸能の仕事を再開するわけですが、まずはきっかけを教えてください。
- 大学4年になり、ファッションの仕事や文章を書くのがおもしろいのにこれを活かさずに就職するのはもったいないなと悩んでいました。そのタイミングでいまの事務所から声をかけてもらったのですが、いわゆる芸能活動というより、文章を書いたりアートやファッションに関わりたいという気持ちを汲んで「いっしょにやりたいこと叶えていこう」と言ってもらえて。それなら急いで就職するより、いままでの経験を活かせるチャンスに乗ってみようと思いました。
- ー今日の経験も活かしてもらえたらうれしいです。
- 自分がイメージを膨らませたり、それを伝えたり…。最初で最後のエディター仕事はすごく楽しかったので! 文章を書いたり企画をつくったりが今回だけで終わらないように、またいつかものづくりのお仕事もできたらいいなって思います。
- ー撮影途中でご自分のポートレートカットがあって、ディレクターからモデルに切り替えるのも大変だったと思います。
- 撮られる側になるとすごく緊張しちゃうんです。今日はついさっきまでちかちゃんの動きを見ていたし、時間が押してるなとか気になっちゃうし、いつも以上にドキドキしました。でもかわいい服を着させてもらって、かわいくメイクしてもらえるのは楽しいし、モデルの仕事もやっぱり好きですね。
- ーこれからどんな大人になっていきたいですか?
- もっと自分のことを理解したいと思います。やりたいことやできること、自分の強みなどについてもっと探っていきたいなと。ひとりで家でぼーっとしている時間も「私はなにが好きかな、なにが得意かな」ってずっと考えているんですよ。これからも自分の気持ちに耳を傾けていきたいです。
- ー今後挑戦してみたいお仕事は?
- ラジオなど、声のお仕事ができたらなって思います。トーク内容はSF映画についてとかですかね。それと、私自身が10代のときに「パニック障害」という診断を受けた経験があります。そう聞くと言葉だけが1人歩きしてしまうようで普段はあまりお話しないのですが、私が元気に暮らせるようになるまでの過程や自分と向き合うことの大切さ、少し逃げ道を作ることなど変に勇気づけるとか嫌な感じじゃなく、発信できたらいいなと思います。
- ーそれは聞きたい人がたくさんいると思います! 長丁場の撮影、ありがとうございまいした。編集部みんなで応援してます!
- ありがとうございました!