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TISSUE Magazineが切り開くセクシーの可能性。
TISSUE Magazineが切り開くセクシーの可能性。

EVERYTHING SEXY

TISSUE Magazineが切り開くセクシーの可能性。

2019.12.03

“セクシー”とは、単に性的な魅力だけを表す言葉なのか。
そう疑問を投じ、むしろ“すべての物事がセクシー”なんじゃないかという
新しい可能性を提示するドイツのインディペンデントマガジンが『TISSUE Magazine』。
実に5年ぶりのときを経て、最新号『TISSUE Magazine N°666FFF』を発売。
それに伴い来日を果たした編集長・クリエイティブディレクターのUwe Jens Bermeitingerと
ディストリビューター「ヌーバナル(NEU BANAL)」と一緒に“セクシー”を考えてみました。
後半は、インスタグラムのフェイスフィルターを手がけるアーティストJohanna Jaskowskaと
コラボレートし、ローンチパーティのレポートもしています。

[EDITORIAL]
Direction_ chico(NEU BANAL), Uwe Jens Bermeitinger(TISSUE Magazine)
Photo_Chihiro Lia Ottsu
Hair&Make-up_TORI
Model_TIA

[PARTY SNAP]
Face Filter_Johanna Jaskowska

メッセージはひとつ“すべての物事はセクシー”であること。

ー最新号発売おめでとうございます! 5年ぶりに発売された最新号がどんな本になっているのか教えてください。
ありがとうございます。5年ぶりにリリースすることになった最新号『TISSUE Magazine N°666FFF』は、キリスト教の獣の数字“666”にちなんで666号つくりました。ちなみに“FFF”は“Fortune Favours Fools(幸運は愚か者に味方する)”ということわざから。Martin Ederが撮りおろしたヴィジュアルのポスターと、『TISSUE Magazine』がSheer Glydeと共同プロデュースしたオーラルダムを付録にしました。また、視覚はもちろん嗅覚でも楽しんでもらうために、香水をまんべんなく吹きかけてみました。香りは、ドイツのフレグランスブランド「DL Roelen Fragrances」の“asexual(無性愛)”。
ー今回の内容は“ASMR(自律神経絶頂反応)”がテーマと聞きました。
はい。“ASMR”を大きなテーマに、鬱、クリプトマイニング(仮想通貨の採掘)、サウナトランス、フリーラジカル、そして無性愛といった本質的なトピックに迫っています。Martin Eder、Adrian Crispin & Ann-Katrhin Obermeyer、Tim Bruening、そしてKnuth Kung Shin Steinといった『TISSUE Magazine』常連のコントリビューターに加え、Kristina Nagel、Heather Glazzard、Hélène Mastrandréas、Lisa Boostaniなど本号から新たに参加したアーティストも多数います。なかでもMoritz Haasは、実際に刷り上がった本を使ってASMR動画を撮影してくれたので、合わせて観てもらいたいところです。
ーこの記事ではじめて知るひとの為に、『TISSUE Magazine』はどんな雑誌なのかを改めて伺ってもいいでしょうか?
もちろんです。2011年にHans BussertとMelanie Jeskeとぼくの3人で立ち上げました。エッジーなファッション、フェティッシュ、そしてフィロソフィーを詰め込んだエディトリアルを掲載しています。『TISSUE Magazine』は“すべての物事はセクシー”というポリシーを掲げていて、それはジェンダーや美的感覚に捉われない“セクシー”の在り方を発信しています。それを様々な形で表現すべく、エキシビションを企画したり、メディテーションセッションを催したり、コンサートや、月ごとにミックステープを出したり…。実は創刊から5号目までの間、紙の雑誌としてできることすべてをやり切っていたつもりだったので、そのなかでこうして今回の6号目を発売できたことはすごく嬉しく思っています。『TISSUE Magazine』は、直感的な内容で一言で説明することが難しいんですが、確実に言えることは営利を目的にしてないということと、様々なコントリビューターと手を取りながら作りあげる“ファミリービジネス”を行うメディアです。
ー今回のテーマASMRは、いままで『TISSUE Magazine』が信念として掲げていたことの集大成のようだと思いました。世間的には聴覚からの刺激として知られるASMRを視覚方面から攻めたことは大きな挑戦になったんじゃないでしょうか?
確かに、ASMRを視覚的に注意を引くことは大きな挑戦になりました。今回の『ガールフイナム』のエディトリアルのなかでフルーツの果汁が零れ落ちる様が表れているように、たとえ音からの刺激が無くてもこういうディテールから強く想起させることができるんです。この撮影ができたこと、そして世界中にいる読者のみなさんに熱を持ってシェアすることができて幸せです。
ーなぜいまこのテーマで特集をつくろうと思ったのかが気になったのですが、今回の特集をつくるにあたりインスパイアされたことはありますか?
これを答えるのはすごく簡単ですね! 友人でありアーティストでありプロデューサーでもあるMoritz Haasに、いま何が気になっているのかを聞いたら即答で「ASMR」と答えたから。(先のASMR動画もまさに彼が手がけたもの)
ー多くのコントリビュータが今回も参加してますが、どうやってこれだけの面々が集まるのでしょうか。特集のテーマに合ったメンバーを集めている? それともコラボしてみたいアーティストにテーマを伝えて作ってもらっているとか?
さっきも言ったように特集テーマは友人の一声で決まったわけなので、タイミングとテーマがマッチしたメンバーが集まったと言えるのでしょうか。昨年の夏、ドイツのオッフェンバッハにある芸術大学に特別講師として招かれ、初めてワークショップをしたんですが、そのときのクリエイティブな熱量がぼくに火をつけたんです。今年の春、国際女性デーで「Sister」とコラボした際に東京に向かいました。そこで「ヌーバナル(NEU BANAL)」のオーナーchicoさんと会って。構想を色々話すうちにKristina NagelとMartin Ederをフィーチャーしたいと分かり、すぐに2人を誘いました。「参加しないと終わる」と強引に脅しながら(笑)。そうやって徐々に参加してくれるコントリビューターを集め、2回目のワークショップを7月に行ったときにはもう制作に着手していました。
ーとくに印象的だったのがJohanna Jaskowskaとのページですが、彼女とどういう流れでコラボに至ったのでしょうか?
ベルリンのファッションブランド〈Acte〉の方が、Johanna Jaskowskaと撮影しようと声かけてくれました。Rayan Nohraが撮り下ろし、彼女の最先端だけどどこかアナログっぽさを感じるフェイスフィルターを表現できて満足しています。
ー彼女が手がけるフェイスフィルターについてUweさんが感じたことを教えてください!
画期的!
ーまた、今回の特集では無性愛にふれたパートがありますよね。日本でもようやくLGBTQの存在が広がりつつありますが、これを読んだ人がすべきこと、考えるべきことはなんですか?
すでにLBGTQ+に関して多くのことを耳にしてきましたが、そのなかでも無性愛についてはまだほとんど知られてないことだと思いました。知っていたとしてもタブーのように扱われているようなムードを感じるんです、例えばもし友人が無性愛だとして、そのことをあまり公共の場では話したくないような。なので、まずはより多くの人に無性愛というものを認知してもらい、この企画をきっかけにもっと性に対してオープンに、そして興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

〈R.T.CO〉サングラス、〈D.L.ROELEN FRANGRANCES〉パフューム、〈TISSUE Magazine〉マガジン、Tシャツ、スエット(すべてヌーバナル neubanalshop.thebase.in

ー『TISSUE Magazine』と言えば、雑誌以外でもロゴアイテムが人気ですよね! 今回も「Sister」プロデュースの元、限定アイテムを作っていましたし。どういう風に着てもらいたいですか?
ぜひ誇りを持って着てもらいたいです。社会の偏見やしがらみに捉われず、常にオープンであることを提示する、そんなメッセージを込めているので。『TISSUE Magazine』のロゴはいま社会で巻き起こることに“Give a fuck”し、すべての人に寄り添います。
ーヴィジュアルでもフィーチャーした付録のオーラルダムは日本ではほぼまったく知られていない代物でおもしろかったです。
実はヨーロッパでもそんなにポピュラーではなくて(笑)。むしろ貴重で特別なプロダクトなんです。オーラルダムってすごくヴィーガンな思考で、別にプッシーが汚いとか臭いから使うわけじゃないそうですよ。ぼくがこれを付録にしたのは、実際に使って欲しいというのではなく、セックスをポジティブに捉えて欲しいという願いを込めて。もし使うならぜひ楽しんでもらいたいし、ぼくも早く使いたくてたまりません!
ー今回の『TISSUE Magazine』を通じて読者にはどんなことを感じとってほしい?
何か意味のあるもの、インスピレーションとなることをつくり続けたいと思っているから、読んでいろんなことを感じ取ってもらえたら。一回読むんじゃ掴みきれないことがこの本には詰まっています。
ー今後取り組んでみたいこと、やってみたいことは?
今回のローンチにあたり、日本でイベントができたことはぼくにとって大きなギフトとなりました。すぐに『TISSUE Magazine N°7777777』をつくり始めたいと思っています! この号が完売したので、次の号をつくる資金調達もできたし、またすぐ日本に戻ってきますね。

健全な時間からレイヴ。『TISSUE Magazine』が東京で巻き起こしたこと。

去る11月5日、神南にある「DJ BAR KOARA」でローンチパーティが開催。まずMari Sakurai、6nori9という実は東京でも密かに盛り上がっていたレイヴシーンで活躍しているDJ陣が、オープンの6時から会場を沸々とさせ、ど健全な時間帯とは思えないほど耳福な時間が続いていました。フロアはそんな感じで、踊り倒す人が序盤から多くいたんですが、バー周りもすごかった。というか入り口入ってすぐに、今回の付録だったオーラルダムがマネキンと共にディスプレイというかレクチャー。Tシャツやスエットも置かれていたので、手にとってみたり、展示されてる写真をじっくり眺めたりフロアとはまた違った『TISSUE Magazine』そのものを実感できる空間となっていました。そして、この日私たちはJohanna Jaskowskaのフェイスフィルターでスナップを撮らせてもらうと事前告知していたのを覚えていますか? 『TISSUE Magazine N°666FFF』でコラボレートした彼女、実は『ガールフイナム』とも縁アリで、過去に記事でフェイスフィルターを使わせてもらっていたのです! こう見るとフィルターにもたくさん種類があのがわかるし、何よりちょっと盛れている気が。そんな多角的なアプローチでお届けした東京での一夜はまさにもっとも『TISSUE Magazine』らしく、その存在を体感できるパーティになっていました。

    INFORMATION

    TISSUE Magazine

    tissuemagazine.com

    NEU BANAL

    Instagram @neu_banal